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患者申出療養として非代償性肝硬変にハーボニー

患者申出療養として非代償性肝硬変にハーボニー

【患者申出療養評価会議】新薬の承認手続き中のため1例に限り承認

 厚生労働省の患者申出療養評価会議(福井次矢座長)は8月23日、患者申出療養として新規届出があった「Genotype1型C型肝炎ウイルス感染に伴う非代償性肝硬変患者に対するレジパスビル・ソホスブビル療法」の実施を承認した。
 ハーボニー配合錠(一般名:レジパスビル/ソホスブビル配合錠、ギリアド・サイエンシズ社)を非代償性肝硬変患者に用いる治療法で、大阪大学医学部附属病院で、1症例に対してのみ実施する。保険給付されない費用は487万8千円、保険給付される費用は35万円、保険外併用療養費分にかかる一部負担金は15万6千円。
 C型肝炎ウイルス感染に伴う非代償性肝硬変患者に対する治療薬としては、ギリアド社が5月15日に「ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠」の日本での製造販売承認を申請し、現在審査中である。この新薬は、米国とEUで「エプクルサ」として販売されている。
 今回、患者申出療養に申請した患者は、新薬の治験の組み入れ基準に該当しなかった。該当する先行試験がないことなどから、先進医療としても実施できない。患者申出療養として承認されたことで、新薬承認を待たずに治療を実施できる。
 厚労省は、「今後、同様の非代償性肝硬変の患者が治療を希望した場合にどのようなやり方が適当か、さらなる議論が必要だが、今回は患者が速やかに治療を受けられるよう1症例に限定して審査をお願いした。企業側とも意見交換を行いながら、どのような方策が望ましいか検討していく」と述べた。
 ギリアド社は、ハーボニー配合錠に関し、非代償性肝硬変の適応拡大の薬事承認申請を行う意思は示していない。

 

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