全日病ニュース
控除対象外消費税の補てん不足を要因分析
控除対象外消費税の補てん不足を要因分析
【中医協・消費税負担分科会】相対的に病院の消費税負担が大きく
厚生労働省は9月19日の中医協の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(荒井耕分科会長)に、医療機関の消費税負担に関して、2014年度診療報酬改定時の対応で補てん不足が生じたことの要因を分析した結果を示した。医療費シェアや課税経費率、算定回数に見込み違いがあり、病院の消費税負担が相対的に大きくなったことが、主要な原因であるとした。
2014年4月に、消費税が5%から8%に引き上がるのに合わせ、控除対象外消費税問題に対応するため、2014年度診療報酬改定時に、初再診料と入院料を対象に、診療報酬の点数を引き上げた。約2,200億円の財源を使い、病院に1,600億円、診療所に600億円を配分した。
基本的な考え方は、医療機関の課税経費率を算出し、そこから医療経済実態調査を基に控除対象外消費税の負担がどれだけ生じているかを把握。それに見合う補てんを「消費税分の補てん点数」×「補てん点数項目の1年分の算定回数」で充当した。
このため、補てんにばらつきが生じたとすれば、①その後の医療費シェアの変化②その後の課税経費率の変化③補てん点数項目の1年分の算定回数の見込みが実際と異なることに原因があると考えられる。ただ、そもそも医療機関の消費税負担は個々に異なるため、どの医療機関でも必ず誤差が生じる。
2014年度改定時に用いた2012年度実績の医療経済実態調査における病院の課税経費率は25.8%。それが2014年度には28.3%、2016年度に27.8%に若干上がっている。一方、診療所は22.2%でほぼ変わっていない。医療費シェアをみると、病院は2012年度と2014年度が50.4%、2016年度が51.8%と若干上がった。診療所は2012年度が21.8%、2014年度が21.3%、2016年度が20.7%と若干下がった。医療費シェアや課税経費率が想定より上がると、負担する控除対象外消費税が増える。
初再診料の算定回数が全体で減る
また、初再診料・外来診療料の算定回数は、「総じて病院の占める割合が減少傾向にある」ことがわかった。2014年度改定の補てんでは、病院全体と診療所全体の課税経費率に基づいて、控除対象外消費税を計算している。それに見合う補てんが行われれば、その時点で両者に不均衡は生じない。しかし、診療所に配分した財源(600億円)の範囲内で、初再診料の点数設定を行ったため、その後の初再診料の算定回数に変化が生じれば、補てん状況に影響を及ぼす。
さらに、初再診料の算定回数は、全体でも減少傾向にあり、全体での補てん不足の一因と厚労省は推定した。
病院は入院料を大くくりに分類したため、ばらつきが大きくなっている。基本的には、「一般病棟入院料」「療養病棟入院基本料」「結核病棟入院基本料」「精神病棟入院基本料」の分類である。一般病棟が一律の補てんになっていることから、全日病会長の猪口雄二委員は、「入院基本料以外の収入が多い急性期大型病院で補てん不足が大きくなる傾向があるのは明らか」と訴えた。ただ、同時に「病院で支出と収入を項目ごとに明確に対応させることは、外来と入院の区分けでもできない」と述べ、診療報酬による正確な補てんは不可能であることを強調した。
補てんは全体的に不足し、ばらつきが生じている状況を踏まえ、厚労省は、消費税が10%に上がる際の対応について、①課税経費率は直近の2017年度の医療経済実態調査の結果を用いる②算定回数の見込みでは、NDBデータの通年の実績データを用いる③補てん状況は速やかに検証する─を提示。委員から概ね了承を得た。
支払側委員から医療提供体制の動向を見込んで、見込み違いを減らすことを考えるべきとの意見が出たが、猪口委員は、「未来を見越して正確に補てんしようとするのも無理。定期的に検証し、結果に基づき、できるだけ補てん不足が生じないよう対応することしかできない」と述べた。
一方、2014年度改定時の対応の検証で計算間違いがあり、正しい検証ができなかったことについて、厚労省が対応策を示した。NDBデータと、DPC対象病院が厚労省に提出するデータを突き合わせるなど、他のデータからの確認を行い、複数の職員で入念に対応していくとした。
全日病ニュース2018年10月1日号 HTML版
[1] 控除対象外消費税の大幅な補てん不足が明らかに|第923回/2018年 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180815/news01.html
2018年8月15日 ... 控除対象外消費税の大幅な補てん不足が明らかに|第923回/2018年8月15日号
HTML版。21世紀の医療を考える「 ... 点数項目の1年分の算定回数」であり、支出面は
医療経済実態調査による課税経費率から補てん必要額を算出する。[2] 2018.8.15 No.923 控除対象外消費税の大幅な補てん不足が明らかに
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180815.pdf
2018年8月15日 ... 課税であるために、医療機関が仕入れ. の際に支払っ ... これまでは、控除対象外消費
税が生じ. やすい診療報酬項目を選ぶことで、便. 宜的に対応してきた。消費税が8%に.
上がった2014 ... 調査による課税経費率から補てん必要. 額を算出 ...[3] 診療報酬での補てんに備え準備進める|第915回/2018年4月15日号 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180415/news02.html
2018年4月15日 ... 医療機関などの控除対象外消費税の問題に対応するため、中医協の「診療報酬調査
専門組織・医療機関等における ... 年4月の消費税引上げに向けた議論でも、医療経済
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