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ホーム全日病ニュース(2018年)第926回/2018年10月1日号基金の今年度都道府県別内示額などを報告...

基金の今年度都道府県別内示額などを報告

基金の今年度都道府県別内示額などを報告

【厚労省・医療介護総合確保促進会議】新たに事業を評価する指標を導入

 厚生労働省は9月14日の医療介護総合確保促進会議(田中滋座長)に、地域医療介護総合確保基金の2018年度の内示額など2016年度以降の基金の状況を報告した。2018年度の医療分は合計882.6億円、介護分は合計334.1億円。事業の成果が明確でないとの指摘もあり、新たに事業を評価する指標を導入することも決めた。
 地域医療介護総合確保基金は、社会保障・税一体改革により、消費税財源を使って、地域医療構想の実現などを目的として創設された。2014年度から毎年度ほぼ同額を確保。医療分が約904億円(うち国費602億円)、介護分が約724億円(うち国費483億円)である。病床の機能分化・連携や在宅医療・介護の推進、医療・介護従事者の確保などで事業を区分し、使っている。
 同日は、2018年度の内示額を含め、最近の執行状況が報告された。2014年度~ 2016年度の3年間の執行状況をみると、医療分は交付総額2,711億円のうち、執行総額は1,729億円で執行率は64%。介護分は交付総額1,448億円のうち、執行総額は876億円で執行率は60%。執行率が低迷しているが、厚労省は、複数年度にわたって実施する施設整備費の後年度の負担分を確保している事業があり、未執行額は今後解消される見込みであると説明した。
 2017年度の交付状況では、公民の割合が示された。公的機関が28.4%で171.0億円、民間機関が65.7%で395.8億円を占める。最終的な交付先が未定であるのは5.9%(35.6億円)となっている。委員からは、「公的機関で病院の統合・再編の議論が進んでいるのに、この割合はおかしい」との意見が出た。厚労省からは、公的機関よりも民間機関の数が多く、29年度ではこのような割合になっているが、今後は変化するかもしれないとの説明があった。
 介護分は、「介護施設等の整備に関する事業」が583億円、「介護従事者の確保に関する事業」が77億円だった。公民の割合は、公的機関が2.0%で8.6億円、民間機関が80.7%で354.9億円と、民間機関が圧倒的に多い。
 2018年度の内示額をみると、医療分は合計882.6億円。東京が66.4億円で最も多く、次いで大阪が57.0億円、茨城が42.2億円となっている。逆に、佐賀が4.2億円で最も少なく、次いで秋田県が5.0億円、大分県が6.3億円。基本的には、人口に比例するが、人口1人当たりで計算すると、人口が少ない県に配慮がある。また、具体的な事業計画を策定した都道府県に対し、重点的に配分する方針も示されている。
 「地域医療構想の達成に向けた医療機関の設備整備等」の事業に関しては、2018年度から医療機関のダウンサイジングに要する経費にも活用できることになった。ただ、約50億円の残額があり、追加募集する予定だ。
 2018年度の介護分の内示額は、合計334.1億円。東京都が53.6億円で最も多く、次いで神奈川が26.7億円、兵庫が26.0億円。逆に、山梨が0.4億円で最も少なく、次いで福井・和歌山が0.7億円、大阪・大分が1.3億円である。

 基金事業の事後評価の改善策を提示
 基金事業の事後評価の改善策を議論した。地域医療総合確保基金では、基金の適正な運用のため、PDCA サイクルを回す中で、都道府県が事業評価を実施。計画が設定した目標が未達成の場合は、改善の方向性を記載し、国に報告している。
 2016年度の国への報告をまとめたところ、◇具体的な目標設定が可能と思われるのに目標がない◇達成時期が記載されていない◇改善の方向性の記載がない─などの問題があった。2018年6月の総務省の行政評価・監視でも改善を求める指摘がある。
 このため、具体的な目標設定や達成時期の記載を厳格に求めるとともに、主要な事業について国から評価指標を示すことにした。ただ、評価指標の一律の適用には、委員から配慮を求める意見がある。
 全日病副会長の織田正道委員は、「都道府県担当者の力量に格差があり、どうしても違いが出てきてしまう。目標や指標が明確に定まっていても、それを実現するノウハウが都道府県や地域に備わっていなければ改善は難しい」との懸念を示した。

平成30年度地域医療介護総合確保基金(医療分)

基金規模  基金規模
北海道30.6億円  滋賀県7.7 億円
青森県9.7 億円  京都府23.6億円
岩手県13.1億円  大阪府57.0億円
宮城県11.0億円  兵庫県38.3億円
秋田県5.0 億円  奈良県10.8億円
山形県14.2億円  和歌山県9.9 億円
福島県15.1億円  鳥取県11.7億円
茨城県42.2億円  島根県18.9億円
栃木県14.2億円  岡山県13.1億円
群馬県18.3億円  広島県22.5億円
埼玉県16.8億円  山口県9.5 億円
千葉県34.6億円  徳島県18.8億円
東京都66.4億円  香川県8.6 億円
神奈川県18.1億円  愛媛県22.6億円
新潟県12.5億円  高知県9.3 億円
富山県12.7億円  福岡県34.3億円
石川県8.9 億円  佐賀県4.2 億円
福井県19.7億円  長崎県12.2億円
山梨県7.6 億円  熊本県19.7億円
長野県7.2 億円  大分県6.3 億円
岐阜県7.1 億円  宮崎県39.2億円
静岡県26.6億円  鹿児島県12.6億円
愛知県35.3億円  沖縄県11.8億円
三重県13.2億円  合計882.6 億円

※国費は基金規模の2/3

 

全日病ニュース2018年10月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 厚労省> 地域医療介護確保基金の28年医療分を内示

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160901/news10.html

    2016年9月1日 ... 地域医療介護確保基金の28年医療分を内示|第878回/2016年9月1日号 HTML版
    。21世紀の医療を考える「全日病ニュース」は、全日本病院協会が毎月1日と15日に
    発行する機関紙 ... 【厚労省】. 厚生労働省は8月10日、平成28年度地域医療介護総合
    確保基金(医療分)の内示を、都道府県に対して示した。 基金規模は合計903.7億円で
    、国の内示額は602.4億円となった。昨年は、各都道府県の地域医療構想策定の進捗
    状況を踏まえて2度に分けて基金を内示したが、今年は1度で全体を示した。

  • [2] 2017年に医療介護総合確保方針を改定。厚労省が方針|第859回 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20151115/news06.html

    2015年11月15日 ... 厚労省が方針|第859回/2015年11月15日号 HTML版。21世紀の医療を考える「
    全日病ニュース」は、全日本病院協会が毎月1 ... 10月28日に開かれた医療介護総合
    確保促進会議に、事務局(厚労省保険局医療介護連携政策課)は、15年度地域医療
    介護 ... 億円)の国費内示額を報告した。1回目は、7月に、基金規模総額903.7億円の2
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