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DPCデータ提出が要件化される病院の範囲を変更

DPCデータ提出が要件化される病院の範囲を変更

【中医協・総会】2018年度診療報酬改定の経過措置見直し

 中医協総会は9月26日、DPCデータの提出が入院基本料等の要件となっている病院の範囲を変更することを了承した。2018年度診療報酬改定でDPCデータ提出が求められる病院の範囲を拡大し、経過措置で実施は来年4月となっているが、体制が整わない病院があることから経過措置を見直す。また、来年10月の消費税引上げに向けた議論のスケジュールを決めた。
 2018年度改定では、データ提出加算の算定が義務化される病院を拡大した。具体的には、「7対1・10対1入院基本料、地域包括ケア病棟入院料」から「急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料(7対1、10対1)、専門病院入院基本料(7対1、10対1)、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料5・6(許可病床200床以上)、療養病棟入院基本料(許可病床200床以上)」となった。
 新たにDPCデータ提出が義務化される病院に対しては、1年の経過措置を設け、来年4月実施となっている。
 DPCデータ提出に関するこれまでの実績とデータ収集の重要性からデータ提出を求める病院の範囲を拡大することになった。しかし、体制を整えるのが難しい病院があるとの指摘も出ていた。例えば、病院としては、データ提出の対象外である精神科の診療が中心でも、一部が療養病床で許可病床が200床以上になってしまう場合も存在する。このように、病院全体では精神科を主に担う病院などは、当初の議論の想定外であったことから見直しを決めた。
 経過措置の見直しでは、回復期リハ病棟入院料5・6または療養病棟入院基本料を算定する病棟の病床数が「200床以上の場合」に義務化の対象とすることとし、精神病棟は除外することとした。一方、急性期一般入院基本料など病床数にかかわらず、データ提出を求める病院は見直しの対象としない。
 全日病会長の猪口雄二委員は、「今回、精神科を主に担う病院が問題になったが、規模が小さい療養病棟の病院も、診療報酬が包括化されていることから、(個別の診療報酬項目を記載する)DPCデータ作成の体制は十分ではない。一方で、診療情報を集めることは重要であり、病院全体に広げる議論は、時間をかけて丁寧にやっていくことが重要だ」と見直しを歓迎した。

 来年10月の消費税引上げに伴う対応
 来年の消費税引上げに向けては、控除対象外消費税に対応するため、税制上の仕組みを創設することの如何にかかわらず、診療報酬による補てんは行う予定となっている。来年10月の引上げに対応するため、薬価・材料価格改定を行うが、市場実勢価格を反映させた引下げも同時に行う。市場実勢価格を反映させた引下げについては、来年10月実施を厚生労働省は想定しているが、来年4月に実施すべきとの意見も政府内にある。
 一方、2020年度改定の通常のスケジュールでは、来年9月の薬価調査に基づき薬価改定を行う。来年10月に薬価改定を行うと、9月調査は改定前なので、そのデータは使えない。このため10月以降に、調査を実施する必要がある。猪口委員は、「消費税引上げへの対応と2020年度改定のスケジュールは、あまりに複雑で、通常の妥結も見通せない。改革の進め方について、簡素化が必要だ」と要望した。
 当面のスケジュールとしては、これらの問題に対応するため、まずは総会で関係業界からヒアリングを行う。あわせて、「医療機関等における消費税負担に関する分科会」や「薬価専門部会・保険医療材料専門部会」の議論を踏まえ、年内に骨子をまとめる考えだ。
 そのほか、北海道胆振東部地震の医療保険・診療報酬における対応が報告された。被災地の医療機関に対し、◇レセプトの提出期限の延長◇医療法上の許可病床数を超過する入院◇看護配置の変動◇平均在院日数、「重症度、医療・看護必要度」、在宅復帰率、医療区分2・3の患者割合が基準を満たさない場合─などでも診療報酬の算定を認める。被災地以外の医療機関に対しても、被災地の医療機関からの転院などで基準を緩和する。

 概算医療費の伸び率は2.3%
 厚労省が2017年度の概算医療費を説明した。それによると、医療費は42.2兆円で対前年度比2.3%(約0.9兆円)の増加となった。2015年度は画期的なC型肝炎治療薬の保険適用などで医療費は3.8%の伸びとなったが、2016年度はその反動で▲0.4%となり、高額薬剤の影響で医療費が大きく変動した。2017年度は最近の医療費の動向に見合う伸び率となっている。
 概算医療費は労災や全額自費の医療費は含まないが、医療費全体の98%に相当する。2017年度の医療費の伸びは、休日数等の補正後でも2.3%である。
 医療費の内訳をみると、入院が17兆円、入院外が14.4兆円、歯科が2.9兆円、調剤が7.7兆円となっている。1日当たり医療費の伸び率は2.4%、うち入院が2.0%、入院外が2.1%、歯科が1.3%、調剤が1.8%である。受診延日数の伸び率は▲0.1%となっている。

 

全日病ニュース2018年10月15日号 HTML版

 

 

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    2013年12月15日 ... 中医協総会/2014年度改定の議論:回復期リハ1 病棟専従医師・社会福祉士を評価。
    休日リハ加算を ... (2)DPCデータ提出を要件とし、データを元に診療実績を要件とする
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  • [2] 入院医療に関する調査項目まとめる|第922回/2018年8月1日号 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180801/news04.html

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