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ホーム全日病ニュース(2018年)第927回/2018年10月15日号5疾病・5事業、在宅医療の取組み状況を報告...

5疾病・5事業、在宅医療の取組み状況を報告

5疾病・5事業、在宅医療の取組み状況を報告

【厚労省・医療計画見直し検討会】調整会議で個別疾病議論することに違和感

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(遠藤久夫座長)は9月28日、今年度から始まった医療計画における5疾病・5事業、在宅医療の取組み状況の報告を厚労省から受けた。取組み状況を評価し、2020年度の中間見直しに反映させるとともに、次期医療計画につなげる。一方で、5疾病・5事業、在宅医療の提供体制を個別に、地域医療構想調整会議で議論することには、「違和感がある」との意見が相次いだ。
 5疾病・5事業、在宅医療の提供体制の整備は、都道府県の医療計画の役割の一つ。5疾病・5事業は、◇がん◇脳卒中◇心筋梗塞等の心血管疾患◇糖尿病◇精神疾患◇救急◇災害◇へき地◇周産期◇小児である。今年度が初年度で、3年後の2021年度に中間見直し、2024年度から次期計画が始まる。5疾病・5事業、在宅医療の状況は毎年収集し、同検討会で公表。課題を検討し、必要に応じ、中間見直しや次期医療計画に反映させる。
 同日の検討会では、5疾病・5事業、在宅医療のそれぞれについて、報告があった。例えば、脳卒中では、「37都道府県が、脳卒中医療圏を二次医療圏と同一に設定」、「23都道府県が、地域医療構想調整会議で、脳卒中医療体制の議論を行っている」、「26都道府県が、急性期専門的医療を実施する医療機関と申し出た医療機関の実際の体制を確認している(t - PA投与、血管内治療等の実績)」などが示された。
 報告の多くは、健康局所管の各検討会などが検討してきた結果に基づく。ただ、調整会議が5疾病・5事業、在宅医療を議論の対象にしたかどうかが、検証項目になっていることに対し、委員から違和感を示す意見が多く出た。
 全日病副会長の織田正道委員は、「現状の調整会議は、公的医療機関等改革プランなどを材料に、医療機能の分化・連携の議論をするのが精一杯。疾病・事業別の議論を行う余裕はない。むしろ、超高齢社会では、複数の疾患を抱える患者が増えることへの対応が重要になる」と述べるとともに、疾患別の全国一律の指標を導入することに警戒感を示した。一方で、救急などの提供体制は、「まさに、調整会議で議論すべき課題だ」と強調した。
 そのほかの委員からも、「がんで認知症があり、心血管疾患を抱える高齢患者が増えている。複数疾患を抱える患者が急増する中で、個別疾患の体制を考える必要がある」、「医療機能の分化・連携を図るという調整会議の目的が曖昧になる」などの意見が出た。
 これらの意見を受け、厚労省は今回の報告は、医療計画の記載項目の見直しが目的で、調整会議の役割を見直すものではないことを明確にした。医療計画見直しの議論として、今後、個別疾患の目指すべき提供体制について、アウトカム指標を含めた指標の導入などを検討していく方向だ。

 

全日病ニュース2018年10月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2017/170403_3.pdf

    2017年3月31日 ... ん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病及び精神疾患の5疾病並びに救急医療
    、災 ..... させる取組を支援するため、5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれの指標を
    提供す. ることとしているが、各 ..... 周術期口腔機能管理の取組状況.

  • [2] 専門的医療を行う施設の明確化の方向性で一致|第894回/2017年5 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170515/news08.html

    2017年5月15日 ... 地域の医療資源の状況に応じて、「専門的医療を包括的に行う施設」と「専門的医療
    行う施設」を明確化する方向性で概ね一致した。ただし、施設 ... 各地の取組みをみると、
    岩手県では地域の拠点病院で緊急のPCI が完結できる体制を整えている。 ... 美原委員
    は、都道府県が医療計画で、地域の目標として設定する「手術件数」や「在宅復帰の
    患者の割合」などの指標を、施設の指標に適用する場合の難しさを指摘。 ... 例えば
    脳卒中の場合に、急性期、回復期から維持期にいたるまでの病期ごとの医療.

  • [3] 一般演題プログラム その2

    https://www.ajha.or.jp/topics/info/pdf/2006/48th_tokushima_3.pdf

    1-6-28 | 熊崎 博司 特定・特別医療法人慈泉会 相澤病院 脳卒中急性期からの9単位
    リハ実施の取組みと効果 ... 1-6-40 | 黒田 昌宏 財団法人 脳血管研究所 美原記念病院
    在宅医療推進のための医療機関の連携 ~グループ内の多施設参加プロジェクトの有用
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