全日病ニュース

医療・介護連結データの迅速な提供に向けた方法を議論

【厚労省・医療・介護データ解析基盤会議】厚労省・医療・介護データ解析基盤会議介護データの第三者提供のなかで

　厚生労働省は９月27日、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」を開催した。レセプト情報・特定健診等情報データベース（NDB）と介護保険総合データベース（介護DB）の連結に関して、オープンデータの扱いなどについて意見交換した。
　有識者会議は、７月19日に「これまでの議論の整理」として、次の６つの論点について、一定の整理を行った。①データの収集・利用目的、対象範囲②第三者提供 ③実施体制 ④費用負担⑤技術面の課題 ⑥今後の進め方―。これらの論点のうち、データの収集・利用目的に関する法規定などは、法改正が必要なため、厚労省が法案提出に向けた検討を進めている。有識者会議では、さらに詳細な点について、検討を続けている。
　なお、有識者会議は年内を目途に報告書をとりまとめ、社会保障審議会の医療保険部会と介護保険部会に報告する予定だ。
　同日の会議では、データの第三者提供に関する審査とデータ提供を迅速化する一つの方策である「オープンデータ」などについて議論した。
　現在、NDB についてはオープンデータの公表を行っている。NDBはレセプト情報や特定健診情報など、機微性の高い情報が含まれるため、その詳細なデータを研究者等が利用するには、厳しいセキュリティ要件を満たす必要がある。さらに、データの抽出にも時間がかかる。とはいえ、必ずしも詳細なデータを必要とする研究者が多いわけではなく、基礎的なデータを見たいという研究者もいることから、厚労省は定期的に汎用性の高い基礎的なデータの集計票を作成し、オープンデータとして一般に公表している。
　厚労省は、NDB と介護DBを連結したデータについても、今後、オープンデータを定期的に公表するのかどうか、研究者らのニーズを踏まえて検討していくことを論点として示した。
　委員からは、「オープンデータは絶対に安全なものでなければいけない。医療と介護を連結したデータベースについても、絶対に安全で保守的なものとしてオープンデータをつくり、利用者の声を聞きながらよくしていくという道筋が大切だ」との指摘があった。
　介護DBについてはデータの第三者提供自体がこれから始まる段階で、オープンデータはまだ作成されていない。委員からは、医療と介護を連結したデータベースのオープンデータをいきなりつくるのではなく、まずは介護DBの第三者提供を行うなかで、研究者等からのニーズがあれば介護DBのオープンデータから作成して公表するほうがよいとの意見もあった。
　医療と介護のデータベースは匿名性を確保しつつ、患者・利用者の「氏名（カナ）」「性別」「生年月日」の３項目を利用して連結する方向だ。厚労省は、将来的に導入が見込まれる個人単位被保険者番号についての準備状況も踏まえて、連結解析の技術的な対応については、さらなる検討が必要との認識も示している。