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ホーム全日病ニュース(2018年)第929回/2018年11月15日号地域医療構想調整会議の進捗状況を報告...

地域医療構想調整会議の進捗状況を報告

地域医療構想調整会議の進捗状況を報告

【厚労省・地域医療構想WG】公的・公立病院改革プランで進展

 厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループ(尾形裕也座長)は10月26日、厚労省から地域医療構想調整会議の進捗状況について報告を受けた。政府は今年度末までの2年間を、具体的な医療機関名をあげた医療機能の分化・連携の集中的な議論を行う期間と位置づけている。9月末の時点で、公的・公立病院の改革プランの合意で、一定の進展があったことが報告された。
 5月21日の経済財政諮問会議で安倍首相は、「地域医療構想を着実に実現するためには、2025年までに目指す医療機能別病床数の達成に向けた医療機関ごとの対応方針の策定が重要である」と発言。厚生労働大臣に、今年秋を目途に、策定状況を中間報告することを求めた。一方、調整会議の年間4回の会議開催のサイクルでは、10月~12月は次年度の地域医療介護総合確保基金の活用を視野に入れ、具体的な議論を行う時期にあたる。
 調整会議では現在、公立・公的病院が先行して、2025年を見据えた構想区域における医療機能と必要病床数の方針を示し、その方針について、調整会議で合意するための議論を行っている段階だ。9月末時点の進捗状況をみると、病床換算で、新公立病院改革プラン対象病院の7万3,118床(39%)、新公的病院改革プラン対象病院の16万2,911病床(52%)で、合意を得ていることがわかった。その他の医療機関では75病院、3診療所で合意を得た。
 合意済みの施設数は、3月末で117施設、6月末で280施設、9月末で774施設であり、調整会議の開催頻度と歩調をあわせて増加しており、厚労省は一定の評価を与えた。また、厚労省は、非稼動病床の取扱いの議論を行うことの重要性も強調している。2017年度末の非稼動病床は全体で2万5,873床と集計されており、医療ニーズに応じた稼動が見込めなければ、調整会議で削減を決めることが選択肢となる。
 全日病副会長の織田正道委員は、地域医療の関係者が地域の実情を踏まえた議論を活発に行うことの意義を強調した上で、「2018年度末までに合意を得ることを優先した拙速な議論にならないように」と釘をさした。日本医師会の委員は、「多数決で合意の是非を決めてしまう調整会議があるときいている。それは駄目で、合意できなかったということも、一つの結論であることを明確にしてほしい」と要望した。
 調整会議を活発にするための地域医療構想アドバイザーの選定状況も報告された。アドバイザーは77名(10月26日時点)。医師会・病院団体関係者が41名、大学関係者が26名、その他が10名となっている。神野正博全日病副会長も、石川県病院協会副会長の役職で、アドバイザーに就いている。

慢性期を選択した病棟の状況を分析

 2017年度の病床機能報告制度で「慢性期」と報告した6,418病棟の分析結果も示された。6,418病棟の内訳は、医療療養病棟が4,069病棟で最も多く、次いで、一般病棟の1,619病棟、介護療養病棟の342病棟、「医療療養+介護療養病床」の338病棟となっている。6年後の転換予定では、介護療養病棟で3分の2を超える病棟が、介護保険施設等への転換意志を示している。その他の病棟では、多くは「転換予定なし」としている。
 全体では「転換予定なし」が多いが、転換意志を示す医療療養病棟の中では、多くが療養病棟入院基本料2を算定していた。一般病床では、障害者施設等10対1入院基本料の算定が最も多くなっている。
 委員からは、介護医療院への転換意志を示しても、介護保険制度を運営する市町村が保険料を上げなければならないことを警戒し、転換の許可が得られないことを指摘する意見が出た。
 厚労省は、そのような実態が一部にあることを認めつつ、介護療養病棟と医療療養病棟については、介護保険事業計画における転換拒否の対象となる「総量規制」の対象外であることを明記した通知を発出していることを説明した。

 

全日病ニュース2018年11月15日号 HTML版

 

 

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    必要病床数に向け、現段階での地域医療構想調整会議での対応を集計した。 ... 厚労
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