全日病ニュース
ICERによる医薬品などの価格引下げは2段階に
ICERによる医薬品などの価格引下げは2段階に
【中医協・費用対効果評価等合同部会】費用対効果の技術的問題に対応
厚生労働省は11月7日の「費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会」(荒井耕部会長)に、費用対効果評価の本格導入の仕組みにおいて、医薬品などの価格調整の指標となるICER(増分費用対効果費)の値を2段階とする案を論点とした。同日は結論を出さず、厚労省が改めて考え方を整理した上で結論を出すことになった。
費用対効果評価の仕組みでは、費用対効果の「よい・悪い」を判断する際に、ICERを用いる。ある治療に対する既存薬と新薬を比べて、新薬の方が効果が高いが価格も高い場合に、生活の質を考慮した生存年数を1年延ばすのに、どれだけの費用がかかるかという金額を計算する。その金額が一定額を超えると、費用対効果が悪いと判断され、価格引下げの対象となる。一定の基準を満たせば、引上げもある。
今年度に実施した試行的導入では、500万円/QALYを超えると費用対効果が低いと判断し価格引下げの対象とした。金額が大きくなるのに応じて引下げ幅が大きくなり、1,000万円/QALYで頭打ちとして一定とする。500万円~ 1,000万円の間は、連続的な値で価格調整される。しかし、ICERの計算において、分析のデータが複数あるなど、いくつかの理由で、ICERの値が一つに定まらないことが多いと試行的導入でわかった。
厚労省は、試行的導入の経験を踏まえ、本格導入においては、一定の幅をもった評価を許容するため、連続的な価格調整方式ではなく、段階的な価格調整方式とし、基準値を2つ設けることを提案した。一定の幅をもったICERの値が、基準値をまたぐ場合の対応法などは、今後の検討課題とした。
委員からは、明確な反対はなかったものの、イメージがつかめず、仕組み全体の中での位置づけを明確にしてほしいとの意見が相次いだ。このため、同日は結論を出さず、厚労省が改めて整理し、資料を提出することになった。
試行的導入では、ICERによる価格調整範囲は、医薬品の場合、類似薬効比較方式では補正加算部分、原価計算方式では営業利益本体と製品総原価の合計額を下回らない範囲で適用し、最大9割の引下げとした。
本格導入において、類似薬効比較方式では補正加算部分に適用することでほぼ合意を得ている。原価計算方式については、原価が不透明な状況で、価格調整範囲の妥当性が判断できないとの意見が出ており、議論がある。同日の議論では、医薬品などの安定供給を確保する観点で、価格調整範囲を設ける必要性があることでは了解を得た。
また、総合的評価(アプレイザル)で、倫理的・社会的考慮要素に該当した品目について、1項目該当するごとに、ICERを5%割り引くことでも、ほぼ合意を得ている。ただし、試行的導入で用いた「公衆衛生的有用性」や「公的介護費や生産性損失」は算出が難しく、再考が必要との意見が出た。
全日病ニュース2018年11月15日号 HTML版
[1] 費用対効果評価の本格的な議論始まる|第924回/2018年9月1日号 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180901/news03.html
2018年9月1日 ... 総合的評価(アプレイザル)では、対象品目の費用対効果を評価するのに、ICER(増分
費用効果比)を用いる。具体的には、QALY(質調整生存年)を1年延ばすのに、どれ
だけの費用がかかるかを計算した上で、倫理的・社会的影響などの評価 ...[2] 費用対効果評価でアプレイザルのあり方等を了承|第891回/2017年4 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170401/news06.html
2017年4月1日 ... 費用対効果評価でアプレイザルのあり方等を了承|第891回/2017年4月1日号
HTML版。21世紀の医療を考える「全日病ニュース」 ... 費用対効果評価の本格導入
におけるアプレイザルでは、ICER を使って、費用対効果の値を算出する。[3] 医薬品及び医療機器の費用対効果評価に関する取扱いについて
https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180209_5.pdf
2018年2月7日 ... 中央社会保険医療協議会の定める以下の選定基準に基づき、費用対効果評価専門
部会におい. て指定・公表されたものと ... ① 製造販売業者及び再分析グループにより示
された増分費用効果比(ICER)等の分析結果を. 踏まえ、次の事項 ...
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