全日病ニュース

全日病ニュース

2018年度診療報酬・介護同時改定

2018年度診療報酬・介護同時改定

【医療保険・診療報酬委員会】医療保険・診療報酬委員会 委員長 津留英智

 先ず司会者より、今回改定の総説として、改定の基本方針、基本的視点、診療報酬本体改定率、全体改定率、改定率の年次推移、入院医療の評価の基本的考え方について説明した。また、診療報酬改定に係る答申書附帯意見を踏まえ、「入院医療等の調査・評価分科会」に「DPC評価分科会」が包括され、新たに「DPCワーキンググループ」と「診療情報・指標等のワーキンググループ」が編成され、次回2020年度改定に向けて協議されることを説明した。続いて4名の演者が発言した。その要旨は以下の通り。

①急性期(急性期一般入院基本料等) (同委員会 西本育夫委員)
 急性期一般入院料の再編・統合についての説明があり、入院料1と入院料2の差が少なくなり10対1に移行した場合の人件費削減の面からは、医療機関の選択の幅が広がったことに言及。また在宅復帰率の対象見直しから、在宅復帰加算を算定していた療養型、老健、有床診が他の居宅系介護施設(介護医療院を含む)と同じ扱いとなり、地域の連携体制が変革することを指摘。これに対しては柔軟な対応と、効率的な医療提供が求められるとした。

②地域一般入院基本料(地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟等) (同委員会 福井聡委員)
 地域一般入院基本料が3種、地域包括ケア病棟・病床が8種、回復期リハ領域が6種の計17種の入院料に分かれた。特に地域包括ケア病棟・病床は、自宅等からの受入れ、緊急患者の受入れ、在宅医療の提供、看取りに対する指針が要件となっている。地域で自院の特色を生かせる基準は何か、急性期から慢性期へとどのように連携して、どの入院料でリハビリを提供するのか、ニーズに応え地域で選ばれる病院となることが重要と説いた。

③長期療養(療養病床) (同委員会 杉村洋祐委員)
 療養病棟入院基本料の再編・統合についての説明があり、特に医療区分2・3該当患者割合に応じた段階的評価、療養病棟入院基本料2に係る経過措置の延長、医療区分の判定方法の見直し、療養病棟における在宅復帰強化加算の見直し、入院中の患者に対する褥瘡対策加算について、看護職員と看護補助者との業務分担・共同の推進について、診療実績データ提出対象の拡大、また入院時支援加算についても説明があった。

④介護報酬改定について (高齢者医療介護委員会 木下毅委員長)
 介護報酬改定の改定率の推移、介護報酬改定の概要、入院前後における医療・介護連携の強化、退院前後における医療・介護連携の強化、医療保険で疾患別リハを受けている患者の介護保険への円滑な移行、リハビリに関する緩和要件、訪問リハにおける医師の関与の強化、介護老人保健施設のあり方、在宅復帰・在宅支援機能の見直しについて説明があった。また、介護医療院については人員基準、施設・設備基準、算定要件について詳細な説明があった。今後の課題として人員の確保と、業務の効率化、簡略化の必要性について述べられた。

 その後、総合討論が行われた。各演者に今回改定が最も「地域医療構想」と「地域包括ケアシステム」と関わる点について、また次期改定に向けて重要と考えられるポイントについて述べて頂いた。公立・公的医療機関の急性期非稼働病床から地域包括ケア病棟への転換については、地域完結型から自院完結とならないように注意が必要であること、介護医療院が新設され改めて今後の老健のあり方については、多機能型の施設も将来像の一つという話があった。

 

全日病ニュース2018年11月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 地域包括ケア病棟の機能に応じた評価などを議論|第900回/2017年8 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170815/news10.html

    2017年8月15日 ... 7月21日の中医協の入院医療等の調査・評価分科会(武藤正樹分科会長)で地域包括
    ケア病棟が議題となり、同病棟に期待される①急性期からの受入れ(ポストアキュート)
    ②在宅・生活復帰支援③緊急時の受入れ─の3つの機能のうち、① ...

  • [2] 地域包括ケア病棟の評価を2つに分けることを検討|第899回/2017年 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170801/news04.html

    2017年8月1日 ... 委員からは、地域包括ケア病棟について、「急性期病棟等と連携して患者を受け入れる
    機能」と「自宅等から患者を受け入れ、在宅療養を支援する機能」を分けて評価すべきと
    の意見が相次いだ。回復期リハ病棟は、リハビリ専門職の配置や ...

  • [3] 一部病床の地域包括ケアへの転換を検討 地域包括ケア病棟を想定。

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20140601/news11.html

    2014年6月1日 ... 高度急性期等からの患者の受け入れ(post -acute)、在宅療養あるいは居住系介護
    施設等に入所されている高齢者の急性 ... 一方、2014年4月の実績から、バーチャルな
    地域包括ケア病棟を亜急性期病床+障害者病棟で作ってみました。

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。