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ホーム全日病ニュース(2018年)第929回/2018年11月15日号介護医療院の理念・役割とその活用方法...

介護医療院の理念・役割とその活用方法

介護医療院の理念・役割とその活用方法

【介護医療院協議会】介護医療院協議会 議長 土屋繁之

 第1会場で小泉進次郎氏と猪口雄二会長、安藤高夫副会長による鼎談が行われている時間帯に当協議会企画のシンポジウムが開催された。案の定会場の聴衆はまばらで50人ほどだったように思う。
 まず、厚生労働省老健局老人保健課課長の眞鍋馨氏に介護医療院が創設されるまでの経緯と介護医療院の位置づけ、そして現時点での課題と見通しについてお話し頂いた。厚労省は今回の介護医療院創設に向けて多くの移行支援を提示しており、在宅医療における介護医療院の活用に大きな期待を寄せている現状を話された。
 次いで公立大学法人埼玉県立大学理事長の田中滋先生に介護医療院創設における理念というべき在宅医療のあるべき姿を丁寧にご説明頂いた。介護医療院は入居者の尊厳を保ち、自らの住まいのなかでどう過ごしたいかという意思を尊重しながらご家族、地域住民との交流を充分持てる環境をつくること。そして生活機能維持は勿論のこと、穏やかな経過の中で医療が下支えをして看取りまで対応できる施設であるべきとお話しされた。
 次いで当介護医療院協議会構成員である医療法人弘生会本庄内科病院理事長・院長の本庄弘次先生に中小病院が抱える介護支援課題をご提示頂き、介護医療院がその課題解決の役割を果たせる可能性についてお話し頂いた。地域包括ケアはもともと「医療と介護の切れ目のない連携」がテーマであったが、現在の体制は入院したくてもすぐに受け入れてくれる医療機関が少なく、帰りたいときに帰れる場所も明確でない。その意味では介護医療院は大いに活用できるシステムであり、在宅医療として難しいとされる看取りが十分な環境のもとで行えることは、介護医療院の大きな魅力であると話された。
 最後に全日病高齢者医療介護委員会委員である医療法人笠松会有吉病院理事長の田中圭一先生に、今まで取り組んでこられた自院の地域包括ケア体制における介護医療院の果たすべき役割についてお話し頂いた。介護医療院の大きな利点である「ご家族にとって一番安心で費用も安い住まい」として介護医療院をどのように活用すれば地域の皆さまに喜んで頂けるのか、自院で取り組んできた事例をもとに具体例をご提示頂いた。
 治す医療から支える医療へ、病室を在宅として捉えることで多くの恩恵を入居者・ご家族に提供できる施設として高い理念を持って運営することが大切とお話し頂いた。
 シンポジストが壇上に上がった時に会場はほぼ半分の聴衆で埋まっていた。第1会場はまだ賑わっていたが、厳しい環境にある医療・介護における新たな施設類型介護医療院への会員の皆さまの関心の高さの表れに思えた。
 最後に木下毅介護医療院協議会副議長、西澤寛俊全日病名誉会長のコメントでシンポジウムを締め括って頂いた。

 

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