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時間外労働の特例水準は年1,900~ 2,000時間

時間外労働の特例水準は年1,900~ 2,000時間

【医師の働き方改革検討会】上限の基本は年960時間

 厚生労働省は1月11日の「医師の働き方改革に関する検討会」に、医師に対する時間外労働規制の上限案を示した。2024年度から適用となる時間外労働の上限を年960時間、月100時間(例外あり)とする。さらに、地域医療を確保する観点から医療機関を指定して設ける特例水準は、年1,900 ~ 2,000時間、月100時間未満とした。いずれも休日労働を含む。特例水準では、連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休暇などを義務化する。
 なお、一定の期間集中的に技能向上を図るための特例水準の上限は、まだ明示していない。厚労省は、地域医療の確保の観点とは別の観点で設定する時間数であるとして、別の時間数を設ける考えを示している。
 厚労省の案に対し、救急医療の現場の医師の委員を含め、病院団体など医療側の委員は賛成した。しかし、労働組合側の委員は反対した。同日の検討会でまとめた骨子にも、上限時間は明記されず、引き続き議論を続け、今年度中に決着させる考えだ。
 今年4月から施行される一般労働者に対する時間外労働規制の上限は、原則月45時間、年360時間であり、臨時的に必要との位置づけで、休日を含め、年960時間まで働ける。医師の場合は一般労働者の基準と同水準を目指すとしつつ、医療の特性・医師の特殊性を踏まえ、年960時間以内・月100時間未満を基本とする。時間数は、脳・心臓疾患の労災認定基準を考慮した。
 その上で、地域医療提供体制の確保の観点から「やむを得ない措置」として、特例水準を設定する。休日労働込みの時間外労働として、年1,900~ 2,000時間、月100時間未満を示した。現状で、年間1,920時間を超える医師が約1割、年間2,880時間を超える医師が2%であり、これとかけ離れた基準を設定すると、地域医療に与える影響が大きいことを踏まえた。なお、年間1,920時間を超える医師が1人でもいる医療機関は、大学病院の9割、救急救命センターの8割としている。
 特例水準が適用される医療機関は、①救急医療提供体制及び在宅医療提供体制のうち、特に予見不可能で緊急性の高い医療ニーズに対応するための整備がある②医療計画で政策的に医療の確保が必要との記載がある③代替することが困難な医療機関・医師─であることを基本とする。また、医師偏在対策の効果が現れることを期待し、特例水準の期限は2035年度とする。
 特例水準では、追加的健康確保措置として、連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休暇を義務化する。ただし、これらを確保した場合の最大時間数は2,300時間程度であり、年1,900 ~ 2,000時間に抑えるには、それ以上の休息が求められる水準であるとしている。
 一定の期間集中的に技能向上のために診療する医師に対する上限の時間数はまだ明示していない。特例水準と同様に、追加的健康確保措置を義務づけるが、経過措置の位置づけではない。

 

全日病ニュース2019年2月1日号 HTML版

 

 

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