全日病ニュース
外来の医師偏在対策の具体案を示す
外来の医師偏在対策の具体案を示す
【医師需給分科会】多数区域での開業を思いとどまらせる
厚生労働省は12月26日の医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会(片峰茂座長)に、外来の医師偏在対策の具体策を示した。外来を担う医師が多い地域を外来医師多数区域に指定。そこで開業を計画する医師が地域の関係者と協議する仕組みを設ける。開業を計画する医師には、地域の医療ニーズの情報を提供し、判断材料にしてもらう。それでも開業する場合は、在宅医療、救急医療、公衆衛生など不足する医療機能を担うことを求める。
医師偏在対策に関しては、昨年の通常国会で改正医療法・医師法が成立したが、外来に対する法的措置は盛り込まれなかった。法律に盛り込む内容を議論した同分科会では、強力な外来の偏在対策を求める意見も強く出ていたが、法的規制を設けると、足元で駆け込み開設が起こる懸念もあり、見送られた。
むしろ、地域の医療ニーズの情報を適切に、開業を計画する医師に提供することや、地域の医療関係者と一緒に協議することで、過剰地域での開業が控えられることに期待する考えで、対策を講じる方針となった。
情報提供に関しては、自主的な経営判断が行えるような実態を踏まえた指標を作成する。すでに入院については、医師少数区域と医師多数区域を判断する医師偏在指標の計算式が示されている。同様の考え方に基づき、外来医師偏在指標を作成する。
その上で、全国335の二次医療圏ごとに指標を示し、一定値以上を外来医師多数区域に設定する。外来医師偏在指標により、外来医療ニーズの相対的な位置を把握できるようになるため、新規開業者の自主的な行動変容を期待する。例えば、人口当たり診療所医師数が多い都市部で、さらに開業があれば、診療所当たりの患者数が減る。
ただ、全日病副会長の神野正博委員は、「医療ニーズに対する外来医療の供給が多いのに、経営が成り立ってしまうところに、むしろ問題があるのではないか。それは診療報酬の問題になってしまうと思う」と発言した。
また、二次医療圏単位だと、経営指標とするには、地域として広すぎるので、市町村ごとに診療所や病院の位置を示した地図などのデータも提供するとしている。
地域関係者と協議の場で話し合い
外来医師多数区域で新規開業を計画する場合には、開業者が都道府県に届け出様式を入手する機会を捉え、届出様式に、地域で不足する医療機能を担うことを合意する旨を記載する欄を設けるとともに、それを協議の場で確認する仕組みを構築する。
方針に従わない場合は、協議の場への出席を要請し、協議の場での話し合いの結果を公表する。協議の形態は、適宜持ち回りを認めるなど、柔軟な運営を可能とする。これに関しては、「介入するタイミングが遅すぎると思うので、もう少し早い段階でアプローチできる方法を検討してほしい」との意見が出た。
地域で不足する医療機能としては、在宅医療、救急医療(特に、診療所が対応可能な診療として夜間・休日)、公衆衛生(学校医、産業医、予防摂取等)が示された。
また、外来医療の偏在対策を現行の医療計画の中間見直しに盛り込む。具体的な対策の検討では、地域医療構想調整会議が関与する。地域の協議方針に従わない医療機関に対しては、都道府県医療審議会に報告し、意見を聴取するなどチェック機能を持たせる。
追加合格者による減員の影響を緩和
文部科学省と厚労省が、医学部入試で不適切な事案を認めた各大学が、追加の入学者を入れた場合に、その後の入学定員減の影響を緩和する措置を明らかにした。
東京医科大学など10大学が2019年度入学の入試の不適切性を認め、追加合格者を認める一方で、2020年度は人員減をしなければならない状況にある。厚労省と文科省は、受験生への影響が大きいことから、緩和策を講じることを決めた。
中長期的に医師の需給を合わせる必要があるため、減員を行わなければならないが、2020年度だけで調整するのではなく、2024年までの5年間を上限に、減少分を分割することを認める。
全日病ニュース2019年2月1日号 HTML版
[1] 厚労省・医師需給分科会> 都道府県の医師確保策に向け医師偏在指標 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20181015/news06.html
2018年10月15日 ... 都道府県の医師確保策に向け医師偏在指標示す|第927回/2018年10月15日号
HTML版。21世紀の医療を ... 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会・医師
需給分科会(片峰茂座長)は9月28日、先の国会で成立した改正医療 ... 全日病副会長
の神野正博委員は、「ようやく空砲ではなく、実弾を伴った医師偏在対策が講じられる」と
歓迎。 ... ごと、診療科ごと、入院外来ごとの医師の多寡を統一的・客観的に把握できる
、医師偏在の度合いを示す医師偏在指標」を導入することを定めている。[2] 効果的な医師偏在対策に向け第2次中間報告を了承|第909回/2018 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180101/news13.html
2018年1月1日 ... 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会(片峰茂座長)は12
月8日、医師偏在対策をまとめた第2次中間報告を大筋で了承した。 ... 医師偏在の
度合い」を示す定量的な指標を作成して、確保すべき医師数の目標を地域・診療科ごと
に設定する。 ... 無床診療所が都市部に偏っている状況に対しては、開業を考える医師
に「外来医療機能の偏在・不足等の客観的な把握が可能」となる情報を提供 ...[3] 実効性のある医師偏在対策の議論を再開|第903回/2017年10月1日 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20171001/news14.html
2017年10月1日 ... 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」(片峰茂座長)は
9月13日、次期通常国会での法案提出を視野に、実効性のある医師偏在対策の議論を
再開した。 ... 同分科会は昨年9月に検討すべき医師偏在対策をまとめ、その後、本格的
な議論に入る予定だったが、「新たな医療の在り方を ... 都道府県の計画的な医師確保
対策では、「医師の多寡を把握できる指標の導入」をあげた。 ... 外来医療提供体制
については、無床診療所の開設に一定の制限を設けることが課題になる。
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