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急性期一般入院料と特定入院料(分類Ⅰ)の上乗せ率4.8%

急性期一般入院料と特定入院料(分類Ⅰ)の上乗せ率4.8%

【中医協・医療機関等の消費税負担分科会】初・再診療の上乗せ率は5.5%

 厚生労働省は1月9日の「中医協の医療機関等における消費税負担に関する分科会」(荒井耕分科会長)に、消費税10%への引上げに伴う医療機関の消費税負担への補てんの財源配分案を示した。すでに合意した考え方に従い、上乗せ率を算出すると、急性期一般入院料と、それと親和性の高い分類Ⅰの特定入院料は4.8%で一律になった。全日病会長の猪口雄二委員は、「データの制限があるのはわかるが、これで精緻化というと、まだ大雑把といえるのではないか」と発言した。
 一方、初・再診料は5.5%の上乗せ率となった。ただ、今回の補てんは、前回の消費税8%への引上げ時の対応で補てん不足が生じていたため、新たな方法で5~ 10%の5%分を対象とする。このため、例えば、再診料だと前回対応分の点数を除いた69点からの上乗せとなるが、整数にするため、小数点の取扱いもある。単純計算すると、72点または73点になるが、ほかにも調整事項があり、今後の検討になる。
 なお、診療報酬改定の告示をする時期は定まっていない。
 消費税5~ 10%の5%分の補てんのための満年度の財源は、薬価・材料価格改定率を除く診療報酬改定財源額として、約4,700億円。うち医科が約4,000億円、歯科が約400億円、調剤が約300億円である。医科の病院と診療所の配分は、それぞれの医療費シェアと課税経費率に応じて配分し、病院が約3,000億円、診療所が約1,000億円となった。
 これらの財源が、基本診療料の診療報酬項目の点数を引き上げることに使われる。引上げは消費税率が予定通り上がれば、10月からとなる。
 補てんの基本的な考えは、費用面での医療機関が負担する控除対象外消費税と、収入面での診療報酬の上乗せが見合うようにすることである。しかし、医療機関の課税経費率は医療機関ごとに異なり、診療報酬の算定も医療機関ごとに異なる。
 このため、個々の医療機関単位で、費用面の消費税負担増と、収入面での診療報酬の上乗せが、完全に一致することはない。分科会は、補てんの過不足をできるだけ生じさせないよう対応を「議論の整理」にまとめた。その手法により、今回、基本診療料の上乗せ率を計算した。
 その結果、急性期一般入院基本料は4.8%、地域一般入院基本料は4.0%、療養病棟入院基本料は1.5%、精神病棟入院基本料は1.9%、特定機能病院入院基本料は8.8%、結核病棟入院基本料は5.1%、専門病院入院基本料は5.9%、障害者施設等入院基本料は2.9%となった。
 ただ、5%分の対応であるので、初・再診料と同じく、8%への引上げ時の対応分の点数を除いた上での上乗せとなる。療養病棟入院基本料などは薬剤等が包括されており、それに相当する分の実勢価格分の引下げの影響もある。また、給食材料費は軽減税率の対象であるため、その分を差引く必要がある。これらを考慮して、点数設定が行われるため、最終的に点数がどう設定されるかは、現段階ではわからない。
 今回の対応では、病院種別の補てんのばらつきを是正するため、それぞれの課税経費に応じた入院料シェアを把握し、特定入院料で異なった上乗せ率を設けることになったのが一つの特徴だ。しかし、特定入院料は種類が多く、それを算定する病院も様々である。そこで、各入院基本料と親和性の高い特定入院料をセットとして考え、4分類を設けることにした。
 具体的には、◇救命救急入院Ⅰなど急性期一般入院料と親和性の高い分類Ⅰ(4.8%)◇回復期リハビリテーション病棟入院料Ⅰなど地域一般入院料と親和性の高い分類Ⅱ(4.0%)◇精神科救急入院料Ⅰなど精神病棟10対1、13対1入院基本料と親和性の高い分類Ⅲ(2.6%)◇精神療養病棟入院料など精神病棟15~ 20対1入院基本料と親和性の高い分類Ⅳ(2.2%)である。
 もう少し細かくみると、分類Ⅰには、特定集中治療室管理料やハイケアユニット入院医療管理料、緩和ケア病棟入院料などがある。分類Ⅱには、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料、特定一般病棟入院料などがある。
 猪口委員は、急性期一般入院基本料と特定入院料の分類Ⅰが一律に4.8%になったことに対し、「現状のデータだと、これ以上の精緻化は難しいのかもしれないが、精緻化というには大雑把。今後の対応では、データをそろえて、もっと細かく配分できるようにすべきだ」と主張した。また、前回の対応と同様の手法で行われるDPC/PDPSでの補てんでは、「どう補てんされているか、もう少し具体的にわかるよう資料を示してほしい」と求めた。

 

全日病ニュース2019年2月1日号 HTML版

 

 

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