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ホーム全日病ニュース(2019年)第933回/2019年2月1日号地域医療構想調整会議の議論の結果を検証...

地域医療構想調整会議の議論の結果を検証

地域医療構想調整会議の議論の結果を検証

【地域医療構想WG】公立・公的病院の改革の実効性に懸念

 厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループ(尾形裕也座長)は12月21日、今後の「議論の進め方」をまとめた。各地の地域医療構想調整会議が2018年度末までの2年間で行った議論の結果を検証し、医療の分化・連携など構想が目指す実際の成果を実現させるための課題を整理するため、ヒアリングなどを今後実施する。
 政府は、地域の医療機関の機能分化・連携などを進めるため、2018年度までの2年間を地域医療構想調整会議の集中的な議論を行う期間と位置づけてきた。現時点で、全国で調整会議が開催され、議論の結果、一定の結論は得られる見通しにある。
 ただ、その議論の状況は地域ごとに異なり、結論の捉え方についても、必ずしも共通認識が得られていない状況にあると、厚労省は考えている。厚労省はこれまでも都道府県単位の調整会議の設置や地域医療構想アドバイザーの導入などを通じて、活性化策を講じてきたが、構想の実現に向けて課題は多いとの見方を示した。
 このため、開催された調整会議の状況を検証する。「議論の進め方」では、2018年度末までに、議論の結果の検証方法や具体的な課題を整理するとした。今後数回にわたりヒアリングを実施し、各地の取組みを把握し、共通理解を得ることを目指す。
 ヒアリングの視点としては、◇公民の競合◇医療機関の散在◇将来の病床数の必要量と病床機能報告の集計結果の単純な比較では測ることのできない地域の課題◇公立・公的医療機関でなければ担えない機能の重点化をどう把握し評価に反映させるか─が提示された。同日の議論では、公立・公的病院と民間病院の役割分担を医療機能の分化・連携の観点から、どう地域で整理していくかが話題の中心となった。
 全日病副会長の織田正道委員は、「公立・公的病院に漫然と交付金が投入され、赤字が補てんされ続ける限り、本格的なダウンサイジングは行われず、非効率性が放置されてしまう」と、公立・公的病院の改革プランが着実に実施されるかに懸念を示した。
 他の委員からも、「公立・公的な医療機関でなければ担えない機能を定量的に把握する指標が必要」、「公民両者が担える機能の場合、民間で十分に担える余力があるのであれば、民間がやるという方向で収れんさせるべき」などの意見が出た。一方、公立・公的病院の立場からは、「公的・公立病院の機能を明確にするといっても、例えば、高度急性期だけを担う病院はあり得ない。それ以外の機能をどう役割分担するかが重要だが、機能を特化させるのは難しい」と、不合理な医療機能の分化に反論があった。
 また、同日のヒアリングでは、山形県の取組みを地域医療構想アドバイザーである村上正泰・山形大学教授から、福岡県の取組みを同アドバイザーである村松圭司・産業医科大学講師から、大阪府の取組みを生野弘道・大阪府私立病院協会会長から話をきいた。今後の検証の参考とする。
 ヒアリングの結果を踏まえた議論でも、公民の役割分担の議論が中心となった。特に、調整会議で統合やベッド削減など、公立・公的病院の整理が決まっても、首長の意向で覆される事例があることに対し、対応が望まれるとの意見で委員の多くが一致した。問題を解決する妙案は現時点で見当たらないものの、調整会議の結論が実際に実行される政策決定プロセスが重要との認識を共有した。

 

全日病ニュース2019年2月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 厚労省・地域医療構想WG> 公立・公的病院の機能について議論

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    2018年8月1日 ... 公立・公的病院の機能について議論|第922回/2018年8月1日号 HTML版。21世紀
    の医療を考える「全日病ニュース」は、全日本病院 ... 厚生労働省の「地域医療構想
    に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)は7月20日、地域医療構想調整会議
    状況等について議論した。 ... 県として個別に医療機関のヒアリングを実施するとともに
    民間医療機関にも、「簡易なプランの策定」を依頼し、協議を進めるとした。

  • [2] 地域医療構想の議論の進め方を関係者で議論|第912回/2018年3月 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180301/news06.html

    2018年3月1日 ... 都道府県関係者や地域医師会、大学関係者などが集まり、地域医療構想の進め方など
    議論した。 ... 政府の経済財政諮問会議は昨年、地域医療構想調整会議で、2年間の
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    中旬から4月中旬にかけて、都道府県別の個別ヒアリングを実施する。

  • [3] 2025年に向けた関係団体取組みの中間目標を議論|第914回/2018 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180401/news06.html

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