全日病ニュース

臨床指標の標準化で医療団体に協議会を設置

【医療情報提供内容等あり方検討会】全日病などを候補に事業者を選定

　厚生労働省は12月20日の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」（尾形裕也座長）に、臨床指標の標準化などの取組みを行う協議会を事業採択事業者に設置し、国が財政支援する「医療の質向上のための体制整備事業」を来年度から実施することを報告した。事業採択事業者には全日病などすでに、医療の質評価・公表等事業に取り組んでいる団体などが候補となる。
　ガイドラインや根拠に基づく医療（EBM）など医療の質を測定・評価する考え方が広まり、患者や国民の医療の質への関心も高まっている。厚労省は2010年度以降、「医療の質の評価・公表等推進事業」を実施しており、各医療団体が事業に参加。補助金がない場合でも、独自の事業を続けている。
　全日病では、医療の質向上委員会（飯田修平委員長）が主体となり、疾患別や病院全体の臨床指標のデータを収集する事業を実施し、各年度で報告会を開催し、参加病院にフィードバックを行っている。参加病院は41病院。
　その他の病院団体でも、◇日本病院会（実施施設数355）◇全国自治体病院協議会（同176）、恩賜財団済生会（同157）、国立病院機構（141）、全日本民主医療機関連合会（97）、日本赤十字社（74）日本慢性期医療協会（39）、労働者健康安全機構（34）が、独自の事業を実施している。
　2019年度の事業では、事業者を一つに絞り、その事業者に「医療の質向上のための協議会」を設置。医療の質向上に向け、医療機関や病院団体などを支援する仕組みを構築するとしている。臨床指標の算出方法や評価・分析手法、公表、人材育成などに取り組み、臨床指標の標準化を図るとしている。
　また、2016 ～ 18年度厚生労働科学研究（福井次矢・研究代表者）は、共通QIセット（クオリティ・インディケータ）として23種類36指標を整理。◇患者満足度◇インシデント・アクシンデント発生率◇血糖コントロール◇予防的抗菌薬の投与◇30日以内の予定外再入院率─などを例示した。
　同日の議論では、これらの指標を現段階でそのままホームページなどに公表すると、誤った病院ランキングに近くなるなど、閲覧者に誤解を招くとの意見が大半であり、公表のための工夫が必要との意見が相次いだ。また、多くが急性期医療に関わる指標であり、回復期や慢性期の医療の質を評価する研究が必要との意見も出ている。

ウェブ規制で医療広告協議会も設置
　医療機関のウェブサイトの監視指導体制を強化するため、医療広告協議会を設けることも報告された。
　厚労省は昨年６月に、医療機関のウェブサイトを念頭に医療広告ガイドラインを改訂した。同時にネットパトロール事業を実施しており、問題のある虚偽・誇大のウェブサイトを監視している。ネットパトロール事業などで、不適切なウェブサイトが見つかった場合、自治体に通報され、自治体が処分の判断を行う。
　その場合、ガイドラインの見直しで、自治体が個別に判断しなければならない事例が増えている。自治体間の判断・解釈・指導内容などを全国で統一する仕組みを構築するため、医療広告協議会を設置する。主に、自由診療を提供する医療機関のウェブサイトの適正化につなげる。
　また、新専門医制度発足に伴い、新たな専門医を広告可能とすることを検討することを了承した。医道審議会・医師分科会医師専門研修部会の議論を踏まえる。特定行為研修を修了した看護師の広告の可否も検討する。