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社会保障関係費は31兆5,937億円で過去最大に

社会保障関係費は31兆5,937億円で過去最大に

【政府予算案】自然増は実質4,774億円の増加に抑える

 政府は12月21日、2019年度の政府予算案を閣議決定した。厚生労働省分の社会保障関係費は31兆5,937億円で過去最大となった。対前年度伸び率は2.9%で、増加額は8,864億円。2019年度の社会保障関係費も例年通り、医療や年金などの自然増の伸びを5千億円程度とすることが求められ、実質的な伸びを4,774億円まで抑えた。しかし、10月予定の消費税引上げとあわせて行う社会保障の充実や、医療機関などに生じる消費税負担増に伴う診療報酬等改定、新たな経済政策パーケージの実施などを加わり、予算上は9千億円弱の規模の増加となっている。
 社会保障関係費の内訳は、医療が最も多い11兆9,870億円で対前年度伸び率は1.6%で1,895億円の増加、次いで年金が11兆9,870億円で同3.1%、3,610億円の増加、福祉等が4兆3,321億円で同5.3%、2,185億円の増加、介護が3兆2,301億円で同3.7%、1,148億円の増加、雇用が470億円で同5.9%、26億円の増加となっている。社会保障関係費に占める比率は、医療が38%、年金が38 %、福祉等が13.7 %、介護が10.2%、雇用が0.1%となっている。
 社会保障関係費が大部分を占める厚労省の予算額は32兆358億円で、初めて32兆円を超えた。社会保障関係費以外の費用は4,421億円で、人件費など義務的経費等を除いた額が政策経費となる。政策経費は、「人生100年時代を⾒据えた一億総活躍社会の実現」と「全世代型社会保障の基盤強化」を旗印に、①働き方改革・人づくり革命・生産性革命②質が高く効率的な保健・医療・介護の提供③全ての人が安心して暮らせる社会に向けた福祉等の推進─の3本柱を重要事項とした。

医療従事者の働き方改革予算を倍増
 医療・介護施策を中心に3本柱の中身をみていく。
 「①働き方改革・人づくり革命・生産性革命」では、医療従事者の働き方改革推進のための予算が15億円で、2018年度の6.9億円から倍増となった。タスク・シフティングなどの勤務環境改善の先進的な取組みを行う医療機関に補助するとともに、医療関係団体の好事例の普及などを支援する。「医療勤務環境改善支援センター」で、労務管理の専門家による医療機関の訪問支援なども行う。
 外国人の活用に関する予算も100億円で倍増。新たな在留資格により外国人材を受け入れるに当たり、適正雇用管理を確保する体制や、相談体制の強化を図る。
 医療機関の生産性向上では15億円を計上。特に、新規のtele-ICU体制整備事業で5億円を確保した。遠隔にある複数のICUをネットワークで連携し、中央ICUで集中的に患者をモニタリングし、管理する仕組みを促す。
 「②質が高く効率的な保健・医療・介護の提供」では、医師偏在対策が119億円。医師少数区域等で勤務した医師の認定制度開始に向けて、全国的な医師の配置調整を行う仕組みや、必要なシステム構築に関する調査などを実施するとともに、都道府県の医療行政人材の育成を行う。新たな専門医制度について、日本専門医機構による研修プログラムのチェック、都道府県や関係学会との調整などを支援する。
 災害医療体制と健康危機管理体制は、2018年度の4.2億円から94億円に大幅増となった。DMAT体制の強化や災害拠点病院などの耐震化を進める。保健所の非常用自家発電設備を整備する。また、広域災害・救急医療情報システム(EMIS)の機能を拡充する。
 介護の自立支援・重度化防止策は210億円で、市町村や都道府県の取組みを支援するとともに、科学的に自立支援などの効果を裏づけるデータベースを構築する。認知症対策は119億円を計上し、認知症の人の支援ニーズに認知症サポーターをつなげる仕組み(チームオレンジ)や認知症疾患医療センターの整備促進などを図る。
 外国人患者の受入れ体制整備では、医療機関の相談にワンストップで対応できる窓口設置や、多言語コミュニケーションに対応する環境整備への支援で、17億円を計上している。
 「③全ての人が安心して暮らせる社会に向けた福祉等の推進」では、母子保健医療対策を妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援として行う(231億円)。不妊治療への助成、産婦健康診査、産後ケア事業などを実施する。市町村システムの改修も行う。

社会保障・税一体改革が完成

 2019年度予算においても、社会保障関係費に対しては、抑制が求められた。基本的には、医療や介護、年金など社会保障制度の給付の伸びを、高齢化要因による伸びの分しか認めないとの考えがある。夏の概算要求段階で厚労省は、6,179億円を要求していたが、予算案段階ではこれを4,786億円まで圧縮した。圧縮に寄与したのは、今回も、薬価・材料価格改定で約500億円の削減となった。そのほか、介護納付金総報酬割の拡大や生活保護の生活扶助金見直しなどで達成した。
 実質的な増加分が約4,800億円であるのに、予算上の伸びが8,857億円であるのは、主に、消費税が10月に10%に上がることに伴い、社会保障・税一体改革が完成し、社会保障の充実が新たに行われるためである。安倍政権の下で、介護職員への新たな処遇改善など、「新たな経済政策パッケージ」が実施されることも影響する。
 医療関係だと、当初予定を上回り、地域医療介護総合確保基金が医療分・介護分で100億円ずつ増額されたことと、医療ICT化促進基金(300億円)が創設されたことが注目される。

(注1)平成30年度予算額は当初予算額である。
(注2)政府全体の社会保障関係費の増△減額は10,710億円、消費税率引上げとあわせ行う社会保障の充実等を除いた増△減額は4,774億円。
(注3)各特別会計の額は、それぞれの勘定の歳出額の合計額から他会計・他勘定への繰入分を除いた純計額である。
(注4)年金特別会計の額は、内閣府と共管の子ども・子育て支援勘定を含む。
(注5)計数は、それぞれ四捨五入によっているので、端数において合計と合致しないものがある。

 

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    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180201/news06.html

    2018年2月1日 ... 社会保障関係費の伸びを5千億円程度に抑える目標は、薬価等の改定で1,900億円を
    捻出することで達成した。 ... 内訳は、医療が11兆8,079億円で0.3%増、年金が11兆
    6260億円で1.8%増、介護が3兆1,153億円で3.4%増、福祉等が4兆1,136億円で2.9
    %増、雇用が444億円 ... 社会保障費の自然増を5千億円程度に抑えることが求められ
    た。2015年の経済財政再生計画で2016〜18年度の社会保障費の伸び ...

  • [2] 厚労省予算は31兆8,956億円で過去最大|第925回/2018年9月15日 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180915/news04.html

    2018年9月15日 ... 大部分を占める社会保障費は29兆8,241億円で、その増加分のいわゆる自然増
    6,179億円増(2.1%)となっ ... 具体的には、①働き方改革・人づくり革命・生産性革命②
    質が高く効率的な保健・医療・介護の提供③すべての人が安心して暮らせる社会に向け
    福祉等の推進─で主要な施策を ... 新専門医制度については、日本専門医機構の
    研修プログラムのチェック、都道府県と関係学会との調整の支援などを行う ...

  • [3] 厚生労働省 15年度の概算要求は31兆6,688億円と過去最高|第832回 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20140915/news06.html

    2014年9月15日 ... 社会保障関係費自然増を見込んで8,155億円増の29兆8,558億円となった。 ... る
    ため概算要求には反映されていないが、同省は、15年度の増収分のうち社会保障費に
    充当する額は、8%のままだと ... 床診、中小病院、介護施設等のスプリンクラー等の
    整備を支援⑧社会福祉法人経営の健全性・透明性の確保(新規)8.4億円.

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