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消費税対応で2019年度診療報酬改定を答申

消費税対応で2019年度診療報酬改定を答申

【中医協総会】10月の実施に向け適切な告示日を設定

 中医協総会(田辺国昭会長)は2月13日、2019年度診療報酬改定を根本匠厚生労働大臣に答申した。消費税10%への引上げに伴い生じる医療機関などの控除対象外消費税問題に対応する。診療報酬への補てんには限界があるとの認識の下、できるだけ精緻な対応を図り、補てんの不足やばらつきが生じないことを目指した。
 告示の時期は未定。消費税の引上げは10月だが、現場の混乱を防ぐため、余裕のある告示日が求められるが、消費税引上げの確実性を見極める必要もありそうだ。
 田辺会長が大口善德副大臣に答申書を手渡した。
 田辺会長は、「中医協で精力的な議論を行って答申をまとめた。消費税引上げに伴って生じる医療機関などへの負担に、診療報酬で過不足なく補てんされ、的確に対応できるものになったと考えている。診療側、支払側、厚労省にはそれぞれ国民への理解を促すための広報活動、さらには改定の効果の検証など、残された課題に向けて協力をお願いする」と述べた。
 今回の対応では、前回の消費税8%への引上げ時(2014年)での補てんにおいて、特に病院での大きな補てん不足や病院種別間のばらつきが生じていたにもかかわらず、検証結果に間違いがあり、それがわかるのが遅れた。病院種別の補てん率を100%とし、個別病院への補てんのばらつきもできるだけ減らすため、補てん方法を見直し、5~ 10%分の対応とする。
 そのための財源は病院で約3千億円、診療所で約1千億円である。
 国民への広報活動が重視されたのは、1月30日の都内での公聴会で、多くの国民は、医療は非課税だが、課税分が実質的に診療報酬に上乗せされていることを知らないとの指摘が多く出たことを受けている。
 非課税であるのに、消費税引上げにより、医療費が上がることに、国民の理解と納得を得る努力が厚労省などに求められた。
 大口副大臣は、答申を受け取り、「速やかな検証が必要」とも述べた。今回、検証の間違いが放置されたことへの反省から、新たな方法による補てんが適切であったかをできるだけ早く確認する必要がある。
 しかし、2019年10月以降の補てんの適切性を確認するには、その後1年間を把握した医療経済実態調査の結果と、NDB(ナショナル・データ・ベース)の診療データを組み合わせて検証する必要がある。2020年度の次期改定には間に合わず、早くても2021年になってしまうとの見方を厚労省は示している。
 告示日については未定とした。通常改定とは異なり、4月実施ではないので、年度内には告示されない見込み。厚労省は医療機関のシステム対応や医薬品・医療材料の価格交渉などで、現場に混乱を与えない適切な日を定める。新価格と旧価格が長く併存する形になるのは望ましくないとしている。

 

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