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ホーム全日病ニュース(2019年)第935回/2019年3月1日号AGAやED、アレルギー性鼻炎は対面診療で...

AGAやED、アレルギー性鼻炎は対面診療で

AGAやED、アレルギー性鼻炎は対面診療で

【厚労省・オンライン診療指針見直し検討会】緊急避妊薬は改めて議論

 厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(山本隆一座長)は2月8日、医師との対面診療を必要とせず、オンライン診療だけで完結する診療として、要望が出ていた◇ 男性型脱毛症(AGA)◇勃起不全症(ED)◇季節性アレルギー性鼻炎◇性感染症を協議し、いずれも認めないことで合意した。ただ、緊急避妊薬は、産婦人科医など専門家を呼び、改めて議論する。
 情報通信機器を用いたオンライン診療が認められる診療であっても、初診は対面診療で行い、定期的にも対面診療を求めるのが原則だ。リスクが極めて低いと考えられる場合には、例外的にオンライン診療だけで診療を完結させることを認めており、現行の指針では、禁煙外来のみが明示されている。指針が示されてから1年を経て、様々な要望が上がっており、個別に是非を判断することになった。
 だが、◇男性型脱毛症(AGA)◇勃起不全症(ED)◇季節性アレルギー性鼻炎◇性感染症は、同検討会で議論した結果、いずれも初診の対面診療で、患者の状態に応じた医学的な判断を行うことが望ましいとの意見が大半で、オンライン診療の原則の例外としては、認められなかった。
 一方、緊急避妊薬は産婦人科医など専門家を呼び、改めて議論する。「アフターピルの横流し」などのリスクを含め、安易な処方が広がる恐れもあるとの意見がある一方で、性被害の場合は対面受診に対する心理的抵抗が強く、オンライン診療でそれを軽減する効果があるとの両方の意見が出たためだ。他の要望項目と性格が違うとの判断であり、別に議論する。

「忙しい」が理由だと、なし崩しの懸念
 同検討会では、5月頃に指針見直し案をまとめるため、様々な論点について、議論を行っている。現在、初診であっても、オンライン診療を認める事例としては、他に「離島・へき地」など近隣に受診できる医療機関がない場合がある。そのほかで認める事例を議論したが、特に、検討会では提案はなかった。「忙しいサラリーマンが受診できるようにする」との観点での議論も促されたが、「忙しいことを理由にすると、なし崩し的になる。働き方改革の推進にもそぐわない」と反対意見が出た。
 オンラインによるセカンドオピニオンは、オンライン診療ではなく、「オンライン受診勧奨」であると明確に位置付けた。オンライン受診勧奨であれば、対面受診原則の対象から外れる。資料では、亀田総合病院の「がんセカンドオピニオン外来」の事例紹介があり、オンライン診察で「当院で実施できる治療等を紹介し、治療の方向性等の相談を行う」としている。ただ、セカンドオピニオンの範囲として、患者の勧誘など、どこまでの相談を認めるかでは、意見の違いもみられた。
 在宅医療の場合、現にオンライン診療を行っている疾患の延長での処方は、オンライン処方が可能。しかし、新たな疾患では対面診療が求められる。これに対し、予想される症状の変化の範疇で、診療計画に疾患名とともに記載があれば、オンライン処方を認めることを明確化する。在宅医療の患者でなくても、医療機関へのアクセスが極めて困難な患者は対象となる。
 在宅医療では、診療計画で明示されていれば、異なる医師がオンライン診療で対応することも、例外的に認められている。同様に、主に健康な人を対象とした診療で、同一医師が行なう必要性が低い診療は、診療計画への記載などの条件で、複数医師のオンライン診療を認めることも明確化した。健康診断など自由診療が念頭にある。

オンライン診療の研修を義務化
 なりすまし医師の実例があることから、本人確認は厳しくする。医師が医師免許を保有していることを患者が確認できる環境を整えておくとともに、診療の際に、「原則、医師と患者が身分確認書を用いて、お互いに本人であることの確認を行う」とした。
 また、オンライン診療を実施する医師に対する研修を必修化する。現行の医学教育の中で、通信技術に関する知識は教えられていないため、情報セキリティなど最低限の知識の習得を求める。当面は経過措置を設ける。

 

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