全日病ニュース

医療コーディネーターを養成し外国人に対応

【厚労省・訪日外国人医療提供検討会】診療価格算定ではマニュアル作成

　厚生労働省の「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」（遠藤弘良座長）は２月８日、外国人患者に対応する「医療コーディネーター」に関して意見交換を行った。医療コーディネーターの育成や配置の考え方を整理。院内だけでの対応は難しく、民間事業者を活用しつつ、市場が成り立たない部分を行政が支援するとの考えを示した。また、「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」の作成に向けた議論を始めた。
　同検討会は年度内に訪日外国人旅行者等への医療提供のあり方について一定の方向性を取りまとめる予定だ。
　医療コーディネーターは、院内外で、外国人患者を安全かつ円滑に受け入れるための調整役。その役割としては、◇外国人患者・家族への支援◇医療従事者の負担軽減と支援◇未収金等のトラブル回避と対応◇医療通訳者のサポート─がある。
　厚労省は、「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の速報値を報告。病院の半数（4,397病院）から回答があり、外国人患者対応の専門部署を設けているのは66病院（1.5％）、外国人患者対応マニュアルが整備されているのは312病院（7.0％）、外国人患者受入れ医療コーディネーターを配置しているのは82病院（1.8％）だった。コーディネーターは兼任が多く、その職種は事務職員、医師、看護職の順で担われている。
　2019年度に５日間程度のコーディネーター養成研修を実施する。ただ、「院内のコーディネーターにすべて行わせるのは困難」。民間事業者が質の高いサービスを提供する市場形成が望まれるが、その補完を行政が担う。都道府県は、医療機関からの相談に対応する「ワンストップ窓口」の設置を予定。市町村との役割分担の明確化も求められる。厚労省は、ワンストップ窓口を置く都道府県の役割は、個別事例の介入ではなく、行政手続きの案内だとした。
　同日、訪日外国人旅行者に関する診療価格の検討を開始した。厚労省は「自由診療であるため、各医療機関が、任意に診療価格を設定するもの」としつつ、「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」を示すとした。
　東京大学大学院の田倉智之特任教授が、厚労省の研究事業で作成中のマニュアル案の状況を報告。訪日外国人の診療価格の計算方法として、通訳などの費用と、通常診療に相当する範囲で余計にかかる外国人診療に伴う費用増をそれぞれ算定して合算。「訪日外国人の特別診療の全体原価」を出して、さらに材料費や利益を上乗せする考えを示した。公的診療報酬請求点数に、外国人診療に伴う原価増に相当する倍数をかけて算出できるようにする。