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DPC病院で在院日数短縮進む

DPC病院で在院日数短縮進む

【中医協・退院患者調査】病床利用率は上昇

 厚生労働省は2月13日の中医協の基本問題小委員会(田辺国昭小委員長)に、DPC制度導入の影響を評価するための2017年度「退院患者調査」の結果を報告した。特に大部分を占めるⅢ群のDPC対象病院で、在院日数の短縮や病床利用率の上昇が続いていることが確認できた。計画外の再入院率や退院時転帰(治癒・軽快)の割合でも変化はみられず、医療の質の低下にはつながっていないと考えられる。
 2017年4月から2018年3月までのDPC対象病院等の退院患者を調査した。大学病院が中心のⅠ群は82病院、診療実績などで特定の要件を満たすⅡ群は140病院、それ以外の大部分を占めるⅢ群は1,441病院となっている。DPC 準備病院は267病院、DPCデータを提出する出来高算定病院は1,771病院となっている。
 表1をみると、DPC対象病院Ⅰ~Ⅲとも、2013年度~ 2017年度の5年間で継続的に、平均在院日数が短縮している。2017年度では、Ⅱ群が11.64日で最も短く、次いでⅢ群の12.02日、準備病院の12.68日となっている。大学病院の在院日数はまだ高い傾向にあるようだ。
 表2をみると、病床利用率はⅢ群で継続的に上昇している。2013年度と2017年度を比べると、Ⅲ群は79.9%から81.9%に上がった。Ⅱ群は85.5%から85.7%で足踏み状況にある。Ⅰ群も81.1%から82.9%に上昇している。
 ただ、平均在院日数も病床利用率も変化幅が最も大きいのは、DPC準備病院である。
 「退院患者調査」は、DPC制度が導入され、包括評価と平均在院日数の短縮へのインセンティブが制度に組み込まれる中で、粗診祖療や「患者の追い出し」につながっていないかを確認するために始まった。そのため、退院時転帰(治癒・軽快)や再入院種別の割合などを調べている。
 退院時転帰(治癒・軽快)の割合は、Ⅰ群で2013年度の77.3%が2017年度で77.6%、Ⅱ 群で79.8% から80.5%、Ⅲ群で81.3%から82.0%で、変化はわずかだ。再入院種別は2016年度から「計画的」と「計画外」の違いで集計しているが、「計画外」の割合を2016年度と2017年度で比べると、Ⅰ群は3.3%、Ⅱ群は4.2%、Ⅲ群は4.5%で変化はなかった。
 厚労省はこれらの結果から、「アウトカムの状況を確認する限り、医療の質の状況は変わらないと考えられる」との見解を示している。

先進医療の患者数は年間2万8,539人
 同日の総会で、2018年度の先進医療の実績報告もあった。2018年6月30日現在で、先進医療Aは28種類、先進医療Bは64種類で合計92種類。実施医療機関数は先進医療Aが794施設、先進医療Bが233施設で合計936施設。これまでの全患者数は先進医療Aが2万7,832人、先進医療Bが707人で合計2万8,539人となっている。
 先進医療Aで年間の実施件数が多いものをみると、◇陽子線治療(1,663件)◇重粒子線治療(1,008件)◇多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(2万3,859件)がある。陽子線治療の自費である1件当たりの先進医療費用は271万6千円、重粒子線治療は313万4千円、多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術は65万6千円となっている。
 先進医療Bで最も年間の実施件数が多かったのは、「S-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法(腹膜播種を伴う初発の胃がん)」で、1件当たりの先進医療費用は7万9千円で58件となっている。
 先進医療Aと先進医療Bを合わせた総額は約285億円。うち保険外併用療養費(保険診療分)は約45億円、先進医療費用は約240億円となっている。全医療費のうち先進医療分は84.3%を占める。

 

全日病ニュース2019年3月1日号 HTML版

 

 

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