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時間外労働上限年間1,860時間の賛否など議論が大詰め

時間外労働上限年間1,860時間の賛否など議論が大詰め

【厚労省・医師の働き方改革検討会】特例水準の対象医療機関は約1,500施設

 厚生労働省の医師の働き方改革に関する検討会(岩村正彦座長)の議論が大詰めを迎えている。地域医療を守る観点で設ける年間1,860時間の時間外労働上限の賛否などをめぐり、3月13、15日、立て続けに検討会を開き、議論を深めた。年度内に、上限時間などで合意し、最終報告書をまとめる。対象医療機関は前回まで1,400程度としていたが、2次救急医療機関の範囲を広げるなどして、再整理した結果、1,500程度になる見込みとなった。
 1,860時間の特例水準に対しては、まだ反対意見が出ている。2月20日の検討会で「1,860時間を上限とする根拠が不明確。このまま進めるのなら、私はやめざるを得ない」と宣言していた副座長の渋谷健司委員(東京大学大学院教授)は2月下旬に辞任した。しかし、多くの委員は、1,860時間は2036年までに解消を目指す暫定措置であり、それまでの間に、年間960時間をすべての医療機関が満たせるよう、関係者が様々な取組みを行い努力するとの条件の下で、賛意を示している。
 当初から、960時間を大幅に上回る上限設定に反対していた労働組合側の委員も、「大変、抵抗感のある数字で、これで決めるのなら席を立ちたいとの気持ちがある」(村上陽子委員・連合)と述べつつも、病院団体の委員の意見にも一定の理解を示した。その上で、2036年に向け、特例水準が認められた各医療機関の時間外労働上限が36協定において、着実に下げられていく取組みが重要であるとした。
 1,860時間に理解を示す委員からも、「医療関係者の間でも、特例水準の医療機関の勤務医が、全員1,860時間働かされるとの誤解があるなど、数字が一人歩きしている」との指摘が出ている。このため、検討会の議論が現場に正確に伝わるよう、厚労省に周知が求められた。
 これらの意見を受け、日本病院会副会長の岡留健一郎委員は、「これまで36協定も結んでいなかった病院が、これからは36協定を結び、きちんと労働時間を管理していく。1,860時間は厳しい数字で今は達成の自信はない。しかし2024年度に向け、努力していくことが大事で、来年度以降、具体策を着実に進めていきたい」と、1,860時間の範囲内に収めることが、まずは目標となることを強調し、理解を求めた。
 日本医療法人協会副会長の馬場武彦委員は、「今後、医療機関は労務管理をしっかりして、報告書案に示されたロードマップに沿って、勤務環境改善を進めていかなければならない。しかし、2036年までの目標について、あまりがちがちに決められると、医療現場には様々な不確定の要素があり、それが悪い方向に働いた場合の地域医療への影響が懸念される」と述べた。

二次救急医療機関の範囲を緩和
 特例水準を受ける医療機関は、救急医療や専門的な医療を提供する施設に限定される。前回、約1,400施設としていたが、時間外労働の実態を踏まえ、二次救急医療機関に関し、「年間救急車受入台数1千台以上」に、「年間での夜間・休日・時間外入院件数500件以上」を加えるなどして整理した結果、約1,500施設になるとした。
 一定期間集中的に研修する医師に対する特例水準も、1,860時間を上限とする。地域医療を守る観点の特例は、1,860時間を超える勤務医が現状で1割いるため、それをゼロにすることが目的となる。しかし、これらの特例水準は、時間設定に関しエビデンスはなく、便宜的に同じとした。今後、データを集め、エビデンスを積み重ねることで、上限時間を短縮していく考えだ。
 両者の特例水準を受ける医療機関に対しては、追加的健康確保措置が義務化される。具体的には、◇連続勤務時間制限28時間◇勤務間インターバル9時間◇上記が満たせない場合の代償休息◇月の時間外労働が100時間以上の場合の面接指導─がある。委員からは、「代償休息」が与えることが一般化する事態に対し、懸念が示されており、厳格な運用を求める意見が出ている。
 また、これらの措置が実施されない医療機関に対しては、都道府県が指定を外すことを検討する。その際には、地域医療提供体制のあり方を都道府県が把握した上で、判断する方向だ。

 

全日病ニュース2019年4月1日号 HTML版

 

 

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