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ホーム全日病ニュース(2019年)第937回/2019年4月1日号維持期リハビリの介護保険への移行を3月末に完了...

維持期リハビリの介護保険への移行を3月末に完了

維持期リハビリの介護保険への移行を3月末に完了

【中医協総会】ケアプランの手続きや報酬の請求では配慮

 中医協総会(田辺国昭会長)は3月6日、要介護被保険者等に対する医療保険の維持期・生活期のリハビリテーションの廃止を了承した。2018年度改定で1年間の経過措置を設けて廃止を決めており、予定通り介護保険への移行を完了させる。多くの患者は同じ施設でリハビリを受けると想定されるが、4月から介護保険からの給付となる。
 リハビリテーションは急性期から回復期、維持期・生活期に段階的に移行する。急性期と回復期は主に医療保険、維持期・生活期は主に介護保険で給付を受けるものと整理されている。例えば、脳血管疾患リハビリテーション料1の場合、疾患の発生から180日は1単位(20分)で245点を算定できるが、181日以降になると、単位数の制限がかかる。
 介護保険で給付が受けられる要介護被保険者等であれば、月13単位で点数も147点まで下がる。政府は2006年度改定以来、リハビリによる改善の見込みが低く、医療の必要性が低いとされる患者の医療保険から介護保険への移行を図ってきた。しかし機械的な対応に対する批判や、現場の不安は根強く、廃止を見送ってきた。
 2018年度改定では、この問題に決着をつけるべく、医療保険での算定を廃止するのとあわせて、移行が円滑に行なわれる様々な措置を盛り込んだ。その上で、2019年3月末までを経過措置とした。また、入院患者や状態の改善が見込めると医師が判断した場合は、算定日数制限から除外され、医療保険でリハビリを受けられることも明確化した。
 維持期リハビリの現状の提供状況をみると、介護保険の通所リハビリテーションの請求事業所は2008年度の6,530から2018年11月の7,826まで着実に増加している。受給者数も同様に、46万人から61万人になった。いずれの都道府県でも医療保険の提供施設よりも介護保険での提供施設の方が多くなっている。
 また、医療保険の維持期リハビリの患者数は2018年5月時点で3万2,656人となっており、2017年5月と比べ、9.5%減少した。
 厚労省はこれらの状況も踏まえ、同日の中医協に、2018年度改定で決めた予定通り、2019年3月末で、算定を打ち切ることを提案した。
 多くの場合、医療機関が介護保険事業者にみなし指定されるため、患者は同じ施設で従来のリハビリを介護保険の給付で受けることになる。ただ、医療機関によっては、介護保険を取扱わない定款となっているなど、みなし介護保険事業者の指定を受けられずに、他の施設でのリハビリが求められることもある。
 その場合は、介護保険によるリハビリを受ける月の翌々月まで医療保険と介護保険の併給ができる取扱いを継続することで、円滑な受け渡しを図る。また、ケアプランの策定の手続きや報酬の請求などで配慮する。
 これらの取扱いについて、支払側・診療側の了承を得た。
 全日病会長の猪口雄二委員は、「廃止が言われてから、かなりの年月が経った。厚労省のデータだと、介護保険の通所リハビリテーションの請求事業所は増えてきているが、現場をみて、充実してきたという実感はあまりない。まだ、スムーズに移行できるかわからない状況だ。4月以降、状況がどうなっているかを迅速に把握し、問題が起きていないかを確認してほしい」と要望した。
 他の診療側の委員からも、「維持期リハビリで著しい改善は見込めないかもしれないが、質の低下はあってはならない。受け皿をしっかりと作り、現状の3万人がリハビリ難民になって困ることのないよう、適切な対応が必要」との指摘があった。

 

全日病ニュース2019年4月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 要介護被保険者等である患者に対する入院外の維持期・生活期の疾患別 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190312_4.pdf

    2019年3月11日 ... 各市町村介護保険担当課(室). 各 介 護 保 険 関 係 団 体 御中. ← 厚生労働省 老健
    局 振興課、老人保健課. 今回の内容. 「要介護被保険者等である患者に対する入院外
    の維持. 期・生活期の疾患別リハビリテーションに係る経過措置.

  • [2] 維持期リハビリの介護保険への移行策を検討|第903回/2017年10月 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20171001/news12.html

    2017年10月1日 ... 最初のテーマを維持期・生活期のリハビリテーションを円滑に介護保険に移行させる
    方策とした。2018年4月以降、標準的算定リハビリ日数を超えた要介護被保険者は、
    医療保険での算定が原則できなくなる。この期限をさらに延長することの ...

  • [3] 医療・介護の意見交換> 維持期リハビリの円滑な介護への移行などを議論

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170501/news09.html

    2017年5月1日 ... 送迎が介護への移行の障害 維持期リハビリは現在、医療と介護の役割分担の観点
    から、医療保険から介護保険への移行を進めている。具体的には、入院中の患者以外
    要介護被保険者に対する標準的算定日数(180日)を超えるリハビリ ...

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