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適切な診療価格や医療機関向けマニュアルを検討

適切な診療価格や医療機関向けマニュアルを検討

【厚労省・訪日外国人医療検討会】厚労省の取組みの議論を一通り終える

 厚生労働省の「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」(遠藤弘良座長)は3月11日、政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」に沿った厚労省の取組みに関わる項目の議論を一通り終えた。3月中に開く次回会合で、これまでの議論を整理する。同日は特に、「訪日外国人に対する適切な診療価格」と「外国人患者受入れのための医療機関向けマニュアル」の作成に向けた検討を行った。
 厚労省に取組みが求められた項目は7つ。①医療機関の整備②医療機関向けマニュアル・都道府県マニュアル③自由診療における診療価格④医療通訳者の養成・確保・配置⑤医療通訳・ICTツールの役割分担⑥医療コーディネーター⑦その他(キャッシュレス対応、旅行保険、都道府県のワンストップ窓口など)。
 医療機関の整備では、年度内に都道府県が選定する外国人患者を受け入れる拠点病院に関する事項を通知にまとめる予定だ。多言語での対応が可能な都道府県単位の「重症例を受入可能な医療機関」と2次医療圏単位の「軽症例を受入可能な医療機関」を選ぶことになっている。
 医療機関向けマニュアルについては、同日に案が示されたが、委員から様々な注文がついた。完成は4月以降になるとしている。特に、金銭トラブルを避けるための対応で、質問や意見が多く出た。マニュアル作成研究班の岡村世里奈委員(国際医療福祉大学大学院准教授)は、医療費の概算を事前に提示し、一定の理解を得ることが、トラブル防止に効果的と強調した。
 ただ、事前に医療費を提示するのは簡単ではない。岡村委員は、基本的な医療の価格を一覧表にして提示することや、支払う医療費の上限額を最初に決めておく方法を紹介した。それ以上の検査や治療を行う場合は、必ず患者の同意を得るルールを導入している病院があると説明した。
 また、例えば、フィリピンからの観光客で、脳出血を起こし、救急搬送され入院した事例では、治療だけを日本の病院で受け、リハビリは自国で行うことで医療費を抑えるなど、患者の納得の上で、治療計画を立てることの重要性が指摘された。
 訪日外国人の多くは海外旅行保険に加入し、保険で医療費を支払うが、保険には様々な種類がある。どの種類の保険であるかを把握する必要があり、種類別の保険の仕組みもマニュアルで示された。
 委員からは、訪日外国人を積極的に受け入れる医療機関だけでなく、すべての医療機関が訪日外国人への対応で一定の知識を持つことが望ましく、厚労省による周知や地域医師会や病院団体による研修会の開催を期待する意見があった。

一般的な病態で日本人の1.3倍請求
 自由診療における診療価格は、田倉智之・東京大学大学院教授の研究班が「訪日外国人に対する適切な診療価格に関する研究」を続けている。同日示された資料では、診療報酬に倍率をかけて、自由診療価格を算出する研究で、「件数が比較的多い外来の咽頭炎など一般的な病態ケースは1.3倍程度であったが、現場の負担感の大きい特異的な診療は3倍を超えるケースも散見された」と報告した。
 同一疾病の治療で患者により医療原価が異なるのは、日本人でも同じである。診療報酬はそれを標準化する水準に設定されていると考えられる。このため患者により異なる医療原価は、病院全体の収支で吸収されるよう設定するのが基本となる。これを診療報酬の倍数算定で計算し簡便化する。その上で、通訳費など直接上乗せできる費用を合算して請求額とする考え方が示された。具体的な倍率はさらに詰める。
 日本医療法人協会副会長の小森直之委員は、「このような分析を行うと、日本の医療費は安くて質が高いことが改めて明らかになる。安くて質が高い医療を求めて外国人が押し寄せることは、日本の患者にとって、必ずしもよいこととはいえない」との懸念を示した。
 医療通訳者の養成・確保・配置に対しては、「地域によっては医療通訳資源が全くない」、医療通訳・ICTツールの役割分担に対しては、「最終的なヒトにつながるシステムが必要」、医療コーディネーターに対しては、「多くの医療機関が自前で医療コーディネーターを育てるのは不可能」といった意見が出ており、議論の整理でまとめる。
 キャッシュレス対応では、小森委員が「病院の半数が赤字で、黒字の病院も数%の利益率。カード会社への手数料負担は重い」と改めて配慮を求めた。

 

全日病ニュース2019年4月1日号 HTML版

 

 

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