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ホーム全日病ニュース(2019年)第938回/2019年4月15日号勤務医の時間外労働規制で報告書まとまる...

勤務医の時間外労働規制で報告書まとまる

勤務医の時間外労働規制で報告書まとまる

【厚労省・医師の働き方改革検討会】医師の健康と地域医療の確保を両立

 厚生労働省の医師の働き方改革に関する検討会(岩村正彦座長)は3月28日、2024年4月に適用される医師に対する時間外労働規制のあり方で報告書をまとめた。基本的な時間外労働時間の上限を年間960時間としつつ、地域医療確保の観点で医療機関を指定する「B水準」と、技能向上のため一定期間集中的に研修する期間の「C水準」として、年間1,860時間を設定した。
 報告書には、1,860時間に賛同できないとする意見があったことを付記したが、今後、様々な手段を通じて、過重労働の医師の労働時間を短縮し、医師の健康と地域医療の確保を両立させるため、関係者が強い決意で医師の働き方改革に取組む姿勢で一致した。
 報告書を受けて厚労省は、労働政策審議会での審議を経て、上限規制を省令で規定する方針だ。また、その他の事項についても、医事法制を含め法改正が必要かを精査する。
 この4月から一般の労働者に対する時間外労働規制が施行され、医師は5年遅れの2024年4月からの適用になる。年間1,860時間の上限は、現行で年間1,900時間を超える時間外労働の勤務医が1割であり、それをゼロにする観点から精査し、導き出した数字である。
 このため2024年4月までに、上位1割の勤務医をすべて1,860時間以内に抑える必要があることから、該当する勤務医が働く医療機関は、医師労働時間短縮計画を策定し、行政の支援も得ながら、5年後に備えなければならない。
 2024年4月以降についても、B水準の1,860時間は、2036年までの暫定措置との位置づけである。医師偏在対策の効果が現れることも見込み、医療計画見直しのサイクル(2027年度、2030年度、2033年度)で、規制水準の必要な引下げを実施すると明記した。一方、C水準は、2036年の解消を目指すものではないが、将来的な縮減の可能性を模索するため、検証手法の検討に入る。
 時間外労働規制は年間の時間数だけではない。図表に示されているように、月の上限時間も定めている。ただ、月100時間未満の上限には例外がある。月100時間を超える場合は、面接指導の実施が義務づけられる。さらに、月80時間以上となった段階で、睡眠・疲労の状況を確認する必要がある。
 B水準の場合は、連続勤務時間制限28時間(宿日直の許可がない場合)と勤務間インターバル9時間が義務化される。C水準の場合は、初期研修医だと、連続勤務時間制限が15時間(その後の勤務間インターバル9時間)または24時間になる。また、これらの連続勤務時間制限と勤務間インターバルが実施できなければ、代償休息を提供しなければならない。

医師の時間外労働規制について

 

全日病ニュース2019年4月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 「医師の働き方改革に関する検討会報告書」について(厚生労働省医政 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190401_17.pdf

    2019年3月28日 ... さて、厚生労働省においては、「働き方改革実行計画J(平成 2 9年 3月 2 8日働き方
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  • [2] 医師に対する時間外労働規制の議論を再開|第922回/2018年8月1日 ...

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    2018年8月1日 ... 医師に対する時間外労働規制の議論を再開. 【厚労省・医師の働き方改革検討会】医療
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  • [3] 医師の労働時間短縮に向けた取組について(厚生労働省医政局長:H30 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/181226_1.pdf

    2019年2月25日 ... また、 本年7月に時間外労働の上限規制の導入等を柱とした「働き方改革を推進するた
    ... 参考4 医療機関の管理者の皆様へ 「働き方」が変わります!! 全日本 ... を待たず
    とも、勤務医を雇用する個々の医療機関が自らの状況を踏まえ、でき.

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