全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2019年)第940回/2019年5月15日号2020年度改定に向け入院医療の議論の進め方を了承...

2020年度改定に向け入院医療の議論の進め方を了承

2020年度改定に向け入院医療の議論の進め方を了承

【中医協・入院医療等の調査・評価分科会】2つの作業グループが9月に報告

 中医協の入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也部会長)は4月25日、2020年度診療報酬改定に向けた議論の進め方を了承した。
 入院医療とDPC制度の課題について、分科会に設置した診療報酬・指標等作業グループとDPC/PDPS等作業グループで具体的な作業を進め、9月頃に分科会に報告する。入院医療に関する2018年度調査については、5月以降に厚生労働省から報告を受け、分科会で議論を行う。また、同日、2019年度調査の調査票も了承。早急に調査を実施し、9月以降に結果を議論できるようにする。11月までに分科会としての議論をまとめたい考えだ。
 DPC評価分科会が入院医療等調査・評価分科会に統合されたため、2020年度改定の議論から、入院医療等分科会がDPC制度と入院医療の両方の課題を担う。2020年度改定の附帯意見に沿って、それぞれの課題の技術的課題に関して、専門的な調査と検討を行い、結果を総会に報告するのが入院医療等分科会の役割だ。
 さらに、入院医療等分科会の下に、実務的な作業を行う診療情報・指標等作業グループとDPC/PDPS等作業グループを設けた。
 診療情報・指標等作業グループでは、2018年度改定において、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の見直しや診療実績データを提出する病棟の種類が拡大したことなどを受け、データの取扱いや活用方法が検討課題の中心となる。病院が提供する医療を診療報酬で評価するのに、設備や人員配置だけでなく、診療実績やその成果を評価する方法が検討される方向だ。
 評価指標の具体的な検討課題としては、◇「Ⅱ」の創設を踏まえた重症度、医療・看護必要度◇2018年度改定の判定方法の見直しを踏まえた医療区分◇2018年度改定の実績評価の導入を踏まえた回復期リハビリテーションの入院料の評価体系─をあげている。

DPC対象病院の診療実態を分析

 DPC制度については、制度発足当初からの暫定的な措置であった調整係数の機能評価係数Ⅱへの置き換えが完了するなど、2018年度改定で一定の形に整理され、今後は安定的な運用が課題となる。厚労省は、DPC /PDPS等作業グループで検討する課題として、医療機関別係数のフォローアップやDPC退院患者調査の報告内容、病院情報の公表を提示したほか、「DPC/PDPS」の対象病院の要件もあげた。
 2018年度時点でDPC対象病院は1,730病院で、病床数は50万床に近い。要件は、急性期入院料を満たす病院であれば、通常満たすことができるものになっている。一方で、許可病床数のうち、DPC制度の対象となる病床数が少なく、急性期以外の入院医療を多く行う病院がある。また、在院日数が他の病院と比べて長いなど、平均的な診療実態とかい離した診療を行っている病院がある。
 こうした実態を踏まえ、厚労省は、「平均的な診療実態とかい離した医療機関が含まれると、すべてのDPC対象病院の診療実績を用いて報酬水準を設定するため、安定的な制度運用の妨げとなりうる」と主張。平均的なDPC対象病院とかい離した診療実態に関する分析を行い、それを踏まえ、DPC対象病院の要件設定を含めた評価のあり方を検討するとした。
 これに対しては、複数の委員から異論が出た。全日病副会長の神野正博委員は、「平均から外れているのが悪いと言われているようだが、様々な背景がある。地域医療構想を推進する議論の中で、地域の急性期病院が地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟を引き受けている場合もあり、幅広い視点で分析してほしい」と要望した。
 なお、2019年度調査の項目は、①急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料等(その2)②特定集中治療室等管理料等③療養病棟入院基本料等─の見直しの影響となっている。

 

全日病ニュース2019年5月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。