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2040年に向けた医療・福祉サービス改革プランを決定

【厚労省・2040年社会保障改革本部】医師のサービス提供量７％改善

　根本匠厚生労働大臣が本部長を務める「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」は５月29日、取りまとめを行った。2040年に向けて医療のサービス改革を実施し、医師の単位時間サービス提供量を７％以上改善することを目指すと決めた。医療法人の経営統合等の際に必要な経営資金の優遇融資制度を今年度中に創設し、2020年度から実施することも示した。
　今年10月に予定される消費税率10％への引上げにより、これまで政府が進めてきた2025年を目標とした社会保障・税の一体改革が一区切りを迎える。厚労省は、2025年の先として2040年に向けて社会保障のあり方を検討するため、「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を昨年10月に設置した。
　2025年を目指した社会保障改革では、急増する高齢者人口にどう対応するかが課題だったが、2040年には、社会保障の支え手・医療等のサービスの担い手になりうる現役世代の人口が急減することが大きな課題となる。
　改革本部は、総就業者数を増やすとともに、より少ない人手で医療と福祉の現場が回るように生産性を向上させることが必要との考えを示し、「健康寿命延伸プラン」、「医療・福祉サービス改革プラン」、「就職氷河期世代活躍支援プラン」を決定した。2040年に向けた目標と具体的な施策を示している。
　医療・福祉サービス改革プランでは、①ロボット・AI・ICT 等の実用化推進、データヘルス改革②タスクシフティング、シニア人材の活用推進③組織マネジメント改革④経営の大規模化・協働化―の４つの改革を実施して、医療・福祉分野の生産性向上を図る方針を示した。2040年時点で、医療・福祉分野の「単位時間サービス提供量」を５％、医師については７％以上、改善させることを目指すと明記した。
　そのための施策の主なものをみると、ICTの実用化を推進し、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みをつくる。医療的ケア児の緊急時に、医療関係者が迅速に必要な患者情報を共有できる仕組みを構築する。
　介護分野へのICT 導入を推進し、医療と介護の情報連携に向けた検討を行う。
　オンラインによる服薬指導のあり方について、薬機法の改正状況やガイドラインの整備状況等を踏まえて、次期以降の診療報酬改定における評価を検討する。
　オンライン診療についても、有効性・安全性に関するデータを踏まえ、次期以降の診療報酬改定における評価を検討する。
　タスク・シフティングを推進するため、人材育成に取り組み、2023年度末までに外科等の領域の特定行為研修修了者を１万人にすることを目指す。特定行為のパッケージ研修を実施する指定研修機関数は、2023年度末までに約400カ所に増やすことが目標だ。
　経営の大規模化・協働化を進めるため、医療法人と社会福祉法人それぞれの合併等の好事例を2019年度中に収集して分析し、2020年度に公表する。
　医療法人の経営統合・運営の共同化に向けたインセンティブの付与を行うため、今年度中に優遇融資制度を創設し、2020年度から実施する。
　医療機関の勤務環境改善に向けて、病院長を対象としたトップマネジメント研修を実施する。
　一方、「健康寿命延伸プラン」では、2016年時点で男性72.14年、女性74.79年である健康寿命を、2040年までに男女ともに３年以上のばすことを目指すと明記した。慢性腎臓病診療連携体制の構築や先進事例の展開を通じて、2028年までに年間新規透析患者数を３万5,000人以下に減少させることも目指す。
　根本厚労大臣は、「とりまとめを踏まえ、この夏の骨太の方針、未来投資戦略に必要な政策を盛り込むとともに、今後の制度改正や概算要求等により具体化を図りたい。社会保障の持続可能性を確保するために、給付と負担の見直しについても引き続き検討を進めたい」と述べた。