全日病ニュース

循環器病の診療情報の収集でデータベース

【厚労省・循環器病診療情報検討会】情報センターを設置

　厚生労働省の「非感染症疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」（永井良三座長）は６月５日、大筋で報告書をまとめた。救急搬送の現場や診療提供体制の構築に役立てるため、脳卒中や心血管疾患など循環器病の実態を把握するデータベースを作成する。当面はモデル事業で実施。その後、全国規模のシステム構築を見込む。来年度予算の概算要求に盛り込む方向で調整している。
　2018年12月に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立。基本的施策として情報の収集提供体制の整備を求めた。現状では、循環器病分野の政府統計や学会等のデータ収集は限定的で、公衆衛生施策に役立てるには不十分と指摘される。
　このため、国立循環器病研究センターを念頭に、「循環器病情報センター」を設置。三次救急から二次救急までを担う関連学会が認定する医療施設や救急救命センターなど、協力を得られる医療施設を対象に診療情報を収集する。施設数は１千施設程度を想定している。費用負担は今後検討する。
　診療情報の収集は患者の同意を得た場合とする。収集した情報は個人が特定されないよう匿名化し、民間事業者の活用も見込み、広く活用できるようにする。NDB など他のデータベースと連結できるシステム設計も委員から求められた。
　過去に入院した患者と同一人であるかを把握するため、その判別をどう行うかも課題としている。また、データの偏りを防ぐため、死亡事例の情報も集める。
　診療情報の登録項目案も、脳梗塞や脳出血、急性冠症候群、急性大動脈解離など疾患別に示している。