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ホーム全日病ニュース(2019年)第949回/2019年10月1日号がん遺伝子パネル検査に基づく患者申出療養を承認

がん遺伝子パネル検査に基づく患者申出療養を承認

がん遺伝子パネル検査に基づく患者申出療養を承認

【厚労省・患者申出療養評価会議】がんゲノム医療中核拠点病院で適応外薬を使用

 厚生労働省の患者申出療養評価会議(福井次矢座長)は9月12日、遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療を、患者申出療養として実施することを承認した。同会議は研究計画書の事前審査を進めていたため、患者の申請からわずか10日で実施が認められた。
 同会議は昨年から、遺伝子パネル検査の結果に基づいて患者申出療養の申請を希望する患者が出てくることを想定し、準備を進めていた。あらかじめ複数のがん種・遺伝子異常の患者に対応可能な研究計画書の事前審議を行ってきた。
 審議してきたのは、遺伝子パネル検査を受けて遺伝子異常があることが判明した患者に、適応外薬を投与し、治療経過のデータを収集するという研究計画。国立がん研究センター中央病院が事務局となり、がんゲノム医療中核拠点病院で実施する多施設共同研究だ。
 前回の会議で事前審議を行ったものの、研究計画書や患者への説明文書に不備が指摘されたため、了承に至らなかった。修正後の研究計画書が12日に同会議に提出され、了承された。
 この研究計画書に基づいて患者申出療養を実施できるのは、がんゲノム医療中核拠点病院に限られるが、構成員は「地理的な問題や施設のキャパシティの問題が生じる可能性があるので、早急に実施施設を拡大する方向で検討すべき」とコメントした。
 この研究計画書の枠組みに合致する患者から患者申出療養の申し出が9月2日になされ、12日の会議で審議・承認した。
 患者は固形悪性腫瘍で、手術や化学治療、放射線治療を受けたものの病状が悪化している。先進医療として遺伝子パネル検査を受けた結果、遺伝子異常があるとわかり、その治療についてエキスパートパネルで適応外薬が推奨されたため、患者申出療養の枠組みで適応外薬の使用を申請した。
 この治療にかかる総費用は約55万6千円。保険給付されず患者負担となる費用(患者申出療養分)は約36万7千円で、保険診療の患者自己負担分は約5万7千円。患者負担の合計は約42万4千円になる。なお、適応外薬として使用する薬剤はノバルティス社からの無償提供となるため、薬剤費に関する患者負担はない。
 現在の研究計画は複数のがん種・遺伝子異常の患者に対応可能な形式としているものの、医薬品はノバルティス社の製品に限られる。国立がん研究センター中央病院は現在、他の製薬企業からも協力を得られるよう、交渉を進めている。

 

全日病ニュース2019年10月1日号 HTML版

 

 

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    2019年4月1日 ... 厚生労働省の「患者申出療養評価会議」(福井次矢座長)は3月14日、大阪大学医学部
    附属病院で実施されていた「耳介後部コネクターを ... 現在、がんゲノム医療中核拠点
    病院の国立がん研究センター中央病院が研究計画書を作成している。

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2019年8月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190801.pdf

    2019年8月1日 ... 問題研究所所長の遠藤氏は「『神は細部. に宿る』と言われ ... 組み◇医師労働時間
    短縮計画、評価機. 能の枠組み─ .... 全日病2,551の会員病院中DPC対象 .... も多く、
    退棟先は在宅医療なしの自宅. が51.1%で最も多い。療養病棟では、. 入棟元は他院の
    一般病床が44.6%で最. も多く、退 ...... の患者。年齢は16歳以上。患者申出療. 養の
    予定登録期間は5年間で、実施医. 療機関は、がんゲノム医療中核拠点病.

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