全日病ニュース

「矜持─今こそ示せ、医療人のプライド」をテーマに愛知学会

【第61回全日本病院学会in愛知】地域医療構想をめぐる企画を充実

　「第61回全日本病院学会in愛知」（太田圭洋学会長）は前号既報の通り、９月28･29日の両日、愛知県支部の担当で「矜持─今こそ示せ、医療人のプライド」をテーマに開催された。愛知県開催は1963年の第２回以来、56年ぶり。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を輩出した県として、それぞれの家紋を学会ポスターにあしらった。当日参加者はスタッフを含め、3,481人、700題を超える発表があった。
　学会テーマである「矜持─今こそ示せ、医療人のプライド」は、主として、地域医療を守り支えてきた民間病院に向けたメッセージであると太田学会長は説明。働き手や患者の減少など病院をめぐる環境が悪化する中で、民間病院の存在意義を主張し、世の中に檄を飛ばすものであると力を込めた。
　国は、地域医療構想を実現させるため、地域医療構想調整会議の活性化に向けた対策に本腰を入れている。病院の統合再編の動きは、公立・公的病院を優先させるとの触れ込みだが、民間病院の危機感は強い。公立・公的病院に税金をさらに投入し、巨大病院をつくる再編統合になる可能性もある。官民が適切な役割分担を担っていくには、今後の地域医療調整会議での議論を注視していかなければならない。
　このため、愛知学会では多彩なプログラムが用意されたが、中でも地域医療構想をめぐる企画を充実させた。
　地域医療構想のシンポジウムでは、再検証対象の病院の公表に至った経緯や、病院の選定基準など行政の動向に関する報告があった。学会直前の26日には、再編統合の再検証の対象となる424の公立・公的病院が公表されており、時宜にかなった催しとなった。
　「官民格差徹底討論‼」のシンポジウムでは、官民の病院団体を代表する識者が、官民の望ましい役割分担について、お互いの主張を展開し、熱い議論となった。太田学会長は、相互理解が不十分な面がまだあるとしたが、民間に代替できる医療機能は民間が担うべきとの考え方では一致があった。
　そのほかの学会企画を紹介すると、１日目は、日本医師会の横倉義武会長による「日本医師会の医療政策～健康な社会を作ろう～」、厚生労働省の鈴木康裕医務技監による「これからの医師の働き方～新しいパラダイム」、トヨタ自動車株式会社相談役の張富士夫氏による「トヨタのものづくり」の特別講演があった。シンポジウムでは、地域医療構想関係のほか、「令和時代の職場環境作り」があった。
　２日目は、名古屋大学医学部附属病院の先端医療・臨床研究支援センターの水野正明センター長による「AI・IoTと地域医療」、名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫教授による「必ずくる震災でも病院が機能するために」などの特別講演があった。シンポジウム等では、「地域包括ケアとACP」、「人手不足もなんのその！～医療介護と外国人労働者～」、「病院事務職の矜持」などがあった。
　本号では、１～３面に学会記事を掲載しています。