全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2019年)第950回/2019年10月15日号旧7対1から他病棟への転換は6.5%にとどまる

旧7対1から他病棟への転換は6.5%にとどまる

旧7対1から他病棟への転換は6.5%にとどまる

【中医協・入院医療等分科会】昨年11月からの変化は3ポイント

 厚生労働省は9月26日、中医協の入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)に、2018年度診療報酬改定の影響を検証するための2019年度調査結果の速報値を報告した。改定前の7対1入院基本料を算定していた病棟の93.5%が、2019年6月1日においても、旧7対1である急性期一般入院料1を届け出ていた。旧7対1からの転換は6.5%であり、あまり進んでいないことがわかった。
 同様の調査は2018年度調査でも行っている。2018年11月1日時点の割合は96.5%であり、半年後の変化は3ポイントに過ぎない。この結果について、健康保険組合連合会参与の松本義幸委員は、「(看護職員の調整ができる)人事異動の時期を経た後の調査で、期待したが、あまり動いていない。『重症度、医療・看護必要度Ⅰ、Ⅱ』の基準の妥当性の検証が必要」と不満を表した。
 これに対し、旭川赤十字病院院長の牧野憲一委員は「看護職員のコストを減らせるので、急性期入院料2の方が、経営的には有利であるのに、7対1配置を残すのは、やはり看護師がそれだけ必要ということなのだろう」と述べた。日本医師会の石川広己委員は、「現時点で判断するのは時期尚早。病院はまだ様子見段階で、見極めにはもう少し時間がかかる」と、基準見直しに向かう議論をけん制した。
 全日病副会長の神野正博委員は、「厚労省は二兎を追っているのではないか」と問題提起。二兎とは、「急性期入院料1を減らすこと」と「『重症度、医療・看護必要度Ⅱ』を使い正確なデータを把握すること」。2018年度改定では、急性期一般入院料2・3は「Ⅱ」のみ使用することになった。「Ⅱ」はレセプト電算処理システムから自動的にデータを抽出するので、A・C項目の正確なデータ把握が可能になる。
 しかし、「Ⅱ」を使うと、該当患者割合が下がるとの不安が一部の病院から出ている。神野委員は、「従来の『Ⅰ』を使えるようにすれば、急性期一般入院料2・3への転換が進むのではないか」と提案した。厚労省も「急性期一般入院料2・3で『Ⅱ』を必須としていることが、転換の阻害要因になっているとの指摘がある」ことを認めた。
 また、神野委員は急性期入院料2・3とハイケアユニット入院医療管理料を組み合わせて活用することで、メリハリのある病院運営が可能になると指摘。ハイケアユニット入院医療管理料の基準を緩和し、使い勝手をよくすれば、急性期入院料2・3への転換が増える可能性に言及した。
 療養病棟入院基本料の状況は、2019年6月1日時点で、改定前に療養病棟入院基本料2(25対1)を届け出ていた病棟の59.4%が、看護職員配置が20対1に見直された「2」を届け出ており、最も高い割合となっている。次いで、療養病棟入院基本料1が24.0%、20対1を満たせない療養病棟入院基本料(経過措置1)が12.6%だった。介護医療院への転換は2.9%で、2018年11月1日時点の調査のゼロから増えた。
 また、療養病棟入院基本料(経過措置1)を届け出ている病棟の53.2%が、経過措置であるにもかかわらず、「現状を維持」と回答している。

 

全日病ニュース2019年10月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 「急性期、医療・看護必要度」の妥当性が論点に|第948回/2019年9月 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190915/news01.html

    2019年9月15日 ... 急性期、医療・看護必要度」の妥当性が論点に. 【中医協・入院医療分科会】回復期リハ
    病棟はFIMの適切性を確認. 厚生労働省の「入院医療等の調査・評価分科会」(尾形
    裕也分科会長)は9月5日、次期診療報酬改定に向け、同分科会の ...

  • [2] 「急性期、医療・看護必要度」の妥当性が論点に

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190915.pdf

    2019年10月20日 ... る必要がある」との姿勢を示した。 「急性期、医療・看護必要度」の妥当性が論点に.
    中医協・入院医療分科会. 回復期リハ病棟はFIMの適切性を確認. 厚生労働省は8月
    27日、2020年度予. 算の概算要求を公表した。一般会計は. 過去最大 ...

  • [3] 「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の変化は5.6ポイントで「妥当」|第943回 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190701/news04.html

    2019年7月1日 ... 中医協の第3回入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は6月19日、前回
    報告された入院医療の2018年度 ... 旧7対1入院基本料である急性期一般入院料1の「
    重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の該当患者割合の変化は改定前後 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。