全日病ニュース

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年頭の挨拶

年頭の挨拶

公益社団法人 全日本病院協会 会長 猪口雄二

 明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、つつがなく2020年の新春をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。
 2017年6月に会長に就任して以来、会員の皆様方のご意見を踏まえつつ、組織の強化に取り組んでまいりました。昨年6月には、2期目の信任をいただき、山積する課題に取り組んでまいりましたが、医療行政を取り巻く環境は厳しさを増す一方であり、2020年においても、この状況に変わりはないと予想されます。
 昨年10月の消費税率10%への引上げによって、2025年を目指して進めてきた社会保障・税一体改革は一つの節目を迎えましたが、2025年の先を展望し、高齢化がピークを迎える2040年を見据えて社会保障の改革が検討されています。2025年以降は、人口減少が急速に進み、社会保障の担い手となる現役世代が減少すると予測されています。こうした中で、医療や介護のサービスの担い手の確保が大きな課題となっています。
 医療提供体制については、地域医療構想、医師の働き方改革、医師偏在対策の3つの改革が進められています。3つの改革は密接に関係することから、一体として考えるべきではありますが、それぞれに大きな改革であるとともに、ゴールとして設定されている期限も異なることから、一つ一つを丁寧に議論する必要があります。
 地域医療構想については、昨年9月に再編・統合の再検証を求める公立・公的医療機関のリストが公表され、大きなインパクトがありました。民間病院についてもデータを公表するとされていますが、公立・公的病院の指標と同じではなく、民間病院のあり方、行っている医療というものを十分に調査した上で分析を行っていただきたいと考えています。
 また、医師の働き方改革では、時間外労働の上限規制が医師に適用される2024年度に向けて、労働時間短縮を進めるために、医師の業務について様々な職種へのタスク・シフト/シェアが法改正も含めて検討されています。当然のことながらタスクを受けとる側の負担についても考慮が必要であり、個々の医療機関は、より高度なマネジメントが求められることになります。さらに、AIやICTの積極的な活用、近い将来には介護ロボット等の活用なども検討が必要です。
 医師偏在対策では、2020年度から医師偏在指標に基づく医師確保計画が動き出します。医師養成課程の見直しや総合医の養成などの課題についても検討が必要です。全日病としては2018年度から開始した総合医育成事業を更に推進していきたいと考えています。
 いずれの改革も病院経営に大きなインパクトを及ぼすものであり、とりわけ民間病院にとって存立にかかわる事態も予想されますが、全日病としても組織をあげて、引き続きこれらの改革に対応していく所存です。
 昨年9月には、愛知県支部長である太田圭洋学会長のもと、第61回全日本病院学会in愛知が「矜持―今こそ示せ、医療人のプライド」をテーマに開催されました。多くの会員並びに会員病院職員の方々にご参加をいただき、盛大に行われました。本年は、岡山県支部長である佐能量雄学会長のもと、第62回全日本病院学会in岡山が9月に岡山市で開催されます。学会の直前まで開催されている東京オリンピック・パラリンピックの熱気に負けない位、盛り上がる大会となることを期待しております。皆様方からの多数のご参加を心よりお待ち申し上げます。
 全日本病院協会は、会員病院数が2,550を超え、我が国最大の病院団体です。我々が取り組むべき課題は引き続き山積しています。令和となって初めての新年を迎えるにあたり、執行部一同、そしてすべての会員とともに、一致団結して日本の医療、地域医療を支える病院団体として活動していく所存です。本年も、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

全日病ニュース2020年1月1・15日合併号 HTML版

 

 

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  • [1] 第8章 積み重ねた独自の情報で医療崩壊に挑む

    https://www.ajha.or.jp/about_us/50years/pdf/50years_08.pdf

    平成19年4月12日、猪口雄二副会長は、入院基. 本料にかかわる看護職員配置数の
    算定条件見直し. を求める緊急要望書を厚労省保険局に ... の各委員が新任された。
    このうち、鈴木邦彦委員は病院経営者として医. 法協副会長を務めているほか、全日病
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