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2020年度診療報酬改定率は本体+0.55%

2020年度診療報酬改定率は本体+0.55%

【厚労・財務大臣折衝】救急の働き方改革+0.08%

 加藤勝信厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣は12月17日の大臣折衝で、2020年度政府予算の対応で合意した。診療報酬改定率は本体が+0.55%(国費600億円)。このうち、+0.08%分を「救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応」と位置づけた。これを除く本体改定率は+0.47%。内訳は、医科が+0.53%、歯科が+0.59%、調剤が+0.16%となった。政府はネット改定率という言葉を用いないが、薬価等引下げを単純に反映させると、全体は▲0.46%(▲500億円強)となる。
 加藤厚労相は大臣折衝後の会見で、「厳しい財政事情の中、医療機関の経営状況や、賃金・物価の動向を踏まえ2018年度改定と同じ0.55%になった。医師等の働き方改革を含め、国民一人ひとりに良質な医療サービスが提供されるような改定としたい」と述べた。
 救急病院の働き方改革の0.08%(公費126億円、国費95.3億円)を除く、医科・歯科・調剤の配分は、これまでと同様に、医療費に占める技術料の割合である1対1.1対0.3に見合う。また、働き方改革への対応は0.08%に限るものではないと、厚労省は説明している。
 働き方改革への対応では、地域医療総合確保基金でも公費143億円を積み増し、診療報酬と両方で対応する。0.08%分は、「特に救急医療が厳しい現場」への対応に使い、基金はもう少し幅広い病院での活用を想定する。加藤厚労相は、医師の時間外労働規制が適用される2024年度と、暫定特例水準の適用が終了する2036年度に言及しており、今回だけでなく、継続的な対応となる可能性が示唆された。
 薬価の引下げは、▲0.98%(国費▲1,100億円)となった。このうち実勢価等改定が▲0.43%(国費▲500億円)、残りの▲0.55%について、厚労省は「10月改定の平年度化の効果」と説明している。市場拡大再算定の影響を含めると▲0.99%となる。材料の引下げは、▲0.02%(国費▲30億円)、このうち実勢価等改定が▲0.01%(国費▲10億円)。
 そのほか、2020年度予算案の対応として、様々な措置がとられる。病院にとって、特に影響が大きいのが、新たな病床ダウンサイジング支援だ。
 地域医療構想の実現を図るため、2020年度に限り、一般財源で国費84億円を措置する。地域医療介護総合確保基金を活用しないのは、「自治体の財政力により、地域医療構想の推進の取組みで、差が出ないようにするため」。
 具体的には、稼働病床を1割以上削減する病院に対し、「使途」ではなく、病床削減という「現象」に着目し、補助金を交付する。複数の病院が統合する場合は、借入金の切替えに伴う金利負担を補てんするなどのメニューも用意するという。職員の退職金割増や建物の建替え補助では、基金を活用できるため、両者を区別する。公立・公的に限定せず、民間も活用できる。
 また、2021年度以降は、消費税財源による「医療・介護の充実」として使えるよう、法改正を行う方針である。

 

全日病ニュース2020年1月1・15日合併号 HTML版

 

 

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  • [1] 診療報酬の本体改定率は0.55%に|第909回/2018年1月1日・15日 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180101/news04.html

    2018年1月1日 ... 診療報酬本体改定率の内訳は、医科が0.63%、歯科が0.69%、調剤が0.19%で、医科
    ・歯科・調剤の1対1.1対0.3のこれ ... 薬価改定は△1.36%(国費△1,500億円、以下同
    )で、薬価制度の抜本改革を合わせると△1.65%(△1,800億円)と ...

  • [2] 「医療費の仕組み」:みんなの医療ガイド - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/guide/1.html

    医療費には、医科診療や歯科診療にかかった診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・
    生活医療費、訪問看護医療費などがあります。医療費は、医療保険による給付、後期
    高齢者医療制度や公費負担医療制度による給付、そしてこれらに伴って医療機関など
    を ...

  • [3] 厚労・財務の大臣折衝で主要事項を合意|第932回/2019年1月1日 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190101/news08.html

    2019年1月1日 ... 薬価は0.51%のマイナス 消費税の引上げに伴う報酬改定では、医療機関等が負担
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    なった。内訳は医科0.48%(国費200億円)、歯科0.57%(同20億円)、 ...

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