全日病ニュース

地ケア病棟や回リハ病棟の基準見直し案示す

【中医協総会】療養病棟入院基本料「経過措置２」は廃止

　中医協総会（田辺国昭会長）は12月６日、地域包括ケア病棟入院料等、回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料、短期滞在手術等基本料の具体的な論点で概ね合意を得た。ただ、地域包括ケア病棟入院料の基準見直しなどに対しては、診療側の委員から慎重な意見が出ている。
　地域包括ケア病棟について、大病院の急性期からの受入れの機能に偏った活用が多いことに対しては、前回の議論で適正化の方針で一致していた。このため、厚生労働省が具体的な論点を提示した。まず、許可病床200床以上の病院に対し、自院からの転棟割合に制限を設けることを提案した。これに対し日本医師会の松本吉郎委員が、「400床以上にすべき。十分抑止効果があると考えるし、現場の混乱も防げる」と主張した。
　入院料１・３で評価している「地域包括ケアに係る実績」は、自宅等からの患者の受入れや在宅患者訪問診療料の算定回数の基準引上げ、訪問看護等の回数は基準を引下げることなどが論点となった。ただ、松本委員は自宅等からの患者の受入れ、在宅患者訪問診療料の算定回数、介護サービスの実績のいずれについても、基準を大きく変えることには慎重姿勢を示した。ACPで例示される取組みを全入院料に広げることにも、反対した。支払側は基本的に賛意を示した。
　地域包括ケア病棟の届出に際し、地域医療構想を議論する地域医療構想調整会議を想定し、意見を求めることを要件化することも提案された。これに対しては診療側・支払側の双方から、「調整会議に意見を求めるイメージがつかめない」との指摘が相次ぎ、手続きなどを明確にすべきとの要請が相次いだ。
　DPC対象病院から地域包括ケア病棟・病室に転棟・転室する報酬が異なっており、患者の状態に応じた適切な医学管理を妨げないようにするために、算定する点数をDPC/PDPSの診断群分類に一本化することでも合意した。DPC/PDPSの診断群分類の入院期間ⅡまでをDPC/PDPSの算定に統一し、その後は、DPC対象病院であれば、DPC/PDPS、地域包括ケア病棟であれば、地域包括ケア病棟入院料となる。
　回復期リハビリテーション病棟入院料は、入院料１・３の実績指数を引き上げることを了承した。現行で入院１のFIM得点の増加は「37」、入院料２は「30」となっている。ただ、支払側の委員は、「患者側からみると、アウトカムがきちんと示されている病棟に入院したいと思うのが自然」と述べ、すべての入院料に実績指数が必要と主張した。これに対し全日本病院協会の猪口雄二委員は、「すべての入院料に実績指数を導入すると、患者の選択が生じ、地方だと行き場のなくなる患者が出かねない」と述べ、患者の重症度が違うことなどを説明し、理解を求めた。
　療養病棟入院基本料については、「経過措置２」の廃止を了承した。前回の総会で、経過措置を受けているのが４病院で、その状況を確認した上で、廃止を決めることになっていた。厚労省によると、３病院は療養病棟入院基本料の届出、１病院は介護医療院への転換を予定していることがわかり、委員の了承を得た。
　短期滞在手術等入院基本料については、入院医療等の調査・評価分科会で、想定した包括範囲の医療内容と実態との間に、齟齬が生じている事例があることが問題視された。「３」に関して、４泊５日までの手術等を実施する症例として報酬を設定していることから、平均在院日数が短縮している実態を踏まえ、点数設定を見直すことになった。「１」「２」は、基本的には現行通りとし、実態に基づく見直しが今後行えるよう対象手術が判別できるようにする。
　入院時食事療養費については、医療従事者の負担軽減のための業務の合理化の観点から、帳票の作成において、電子媒体での保管を可能とするとともに、患者ごとに栄養管理が実施されている場合の簡素化を検討する。ただ、評価の引上げは行われない模様だ。