全日病ニュース

損益差額は全体で▲3.2％で実調より悪い結果

【３病院団体調査】医療法人は1.7％でわずかにプラス

　全日本病院協会、日本病院会、日本医療法人協会の３病院団体は12月11日、2019年度病院経営定期調査の結果を発表した。2018年度の損益差額は、一般病院全体で▲3.2％。厚生労働省が発表した医療経済実態調査の▲2.7％より赤字比率が高かった。全日病の猪口雄二会長は会見で、２期続けての赤字病院が４割を超えるなどの実態を踏まえ、「診療報酬改定率が決まる前に、改めて病院経営は非常に厳しい状況にあることを知らせたい」と訴えた。
　結果は総じて、医療経済実態調査より悪かった。医療法人は1.7％で実調の2.8％と比べ、黒字比率が低い。国立病院は▲0.9％で実調の▲1.0％と概ね同じ。公立病院は▲10.2％で実調の▲13.2％より赤字比率が低い。公的病院は▲1.4％で実調の▲0.3％で赤字比率が高い。
　なお、対象病院は３病院団体調査の方が多く、平均病床数も多い。医療法人の病床数は３病院団体調査が277床であるのに対し、実調は184床である。公立病院は３病院団体調査が373床に対し、実調が230床である。有効回答率は31.0％で実調の53.3％より低い。
　今回の結果は、実調と同じく、収益も費用も増大し、損益差額は若干下がるという傾向が続いていることを示している。ただ、実調では、人件費の伸びが高かったが、３病院団体調査の費用の内訳は、材料費（医薬品2.9％、材料費1.8％）が給与費の1.9％を上回った。医薬品費の増加の理由では「高額医薬品の購入」との回答が68％で最も高かった。給与費の増加の理由の回答では、「職員数」が68.9％、「定昇」が58.3％で高くなっている。
　調査の結果のまとめでは、「働き方改革による費用の増加により、病院経営の悪化が予測されるため、2020年度診療報酬改定で病院への診療報酬の手厚い配分を求める」と主張した。
　次に、2018年度診療報酬改定への対応をみていく。
　2019年６月の急性期一般入院料１の病院数は一般病院全体の1,252病院のうち、650病院で、2018年６月と比べ、21病院減った。急性期一般入院料２は37病院で22病院の増加となっており、急性期一般入院料１からの移行が進んでいる。
　一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の測定方法については、「Ⅱ」で測定していると回答した病院は全体で22.8％。「Ⅰ」で届け出ている病院のうち、今後届出変更の予定があると回答した病院は12.6％であり、「2019年中に変更予定」が52.3％、「2020年１～６月」と回答した病院が32.7％であった。急性期一般入院料２～７を算定している病院で、急性期一般入院料１を満たさない基準として最も多いのは、「重症度、医療・看護必要度」の基準が55.0％で最も多く、次いで、平均在院日数が32.1％、在宅復帰・病床機能連携率が31.5％となっている。
　療養病棟入院基本料は回答した492病院のうち、「療養１」が414病院で、2018年６月から８病院の微増、「療養２」は14病院減った。介護医療院への転換予定は、61.1％が「予定なし」と回答し、「転換済み」が3.8％、「転換予定」が5.2％。「転換予定」では、2020年１～６月が60％で最も多くなっている。
　地域包括ケア病棟入院料等は一般病床で638病院、療養病床で76病院が回答した。一般病床では、地域包括ケア病棟入院料２が48.9％で最も多い。次いで多いのが、地域包括ケア病棟入院料１の21.0％となっている。療養病床では、地域包括ケア病棟入院料１が34.2％で最も多く、次いで、地域包括ケア病棟入院料２（32.9％）、地域包括ケア入院医療管理料１（21.1％）。