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ホーム全日病ニュース(2020年)第955回/2020年2月1日号2020年度診療報酬改定の議論の整理まとめる

2020年度診療報酬改定の議論の整理まとめる

2020年度診療報酬改定の議論の整理まとめる

【中医協総会】加藤厚生労働大臣が改定を諮問

 中医協総会(田辺国昭会長)は1月15日、2020年度診療報酬改定に関するこれまでの議論の整理をまとめた。加藤勝信厚生労働大臣はこれを受け、2020年度診療報酬改定を諮問。議論の整理はパブリック・コメントに付し、1月24日に静岡県富士市で公聴会を開催。総会では引続き答申に向け、「重症度、医療・看護必要度」の見直しなど、残された課題を議論し、2月上旬の答申を目指す。
 議論の整理は、社会保障審議会医療保険部会・医療部会が決定した基本方針に沿って、改定項目をまとめている。「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」を重点課題に、「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」、「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」、「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」の表題を設け、各改定項目を並べた(5面資料を参照)。
 重点課題である医師等の働き方改革関連では、救急医療で重要な役割を果たす医療機関に対し新たな評価を設けるとともに、救急搬送看護体制加算、総合入院体制加算、病棟薬剤業務実施加算、夜間看護体制加算、外来化学療法加算、入退院支援加算などの見直しに言及した。業務の効率化・合理化に資する診療報酬の見直しやタスク・シェアリング等を推進する改定を行う。
 入院医療に関しては、特定集中治療室、一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟のそれぞれで様々な見直しを行う。適正化項目も多く含まれ、病院によっては厳しい改定になりそうだ。
 外来医療では、紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担の対象病院を拡大する。機能強化加算は「掲示等の情報提供に係る要件」を見直す。妊婦加算は廃止となり、新たに紹介先の他の医療機関から紹介元のかかりつけ医機能を有する医療機関へ情報提供を行った場合の評価を設ける。
 厚労省は議論の整理案を1月10日の総会に提示した。診療側からは議論の整理案段階で特に異論は出なかったが、健康保険組合連合会の幸野庄司委員が、今回改定の対応で期待していた項目が見送られたとして、不満を表明した。項目として、◇特定機能病院において使用ガイド付きの医薬品集の作成の評価◇生活習慣病管理料に経済性の観点での処方等の説明をすることの要件化◇分割調剤の見直しで医師が分割調剤を指示するインセンティブの導入─をあげた。
 特に、使用ガイド付きの医薬品集の作成の評価が見送られたことに対し「基本方針に『医学的妥当性や経済性を踏まえた処方を推進』とある。これでは基本方針に対応したとは言えない。次回会合で、もう一度議論すべき」と主張した。これに対し日本医師会の松本吉郎委員は、「各病院が個別に使用ガイド付きの医薬品集を作成することは否定しない。しかし、診療報酬で評価することには反対する。中医協総会で合意形成ができなかったということだ」と述べた。
 厚労省は、幸野委員の主張を受け、基本方針の『医学的妥当性や経済性を踏まえた処方を推進』として、今回改定で実施する項目を示した。具体的には、◇後発医薬品使用体制加算等◇一般名処方加算◇在宅自己注射指導管理料等─の見直しを実施するとした。厚労省保険局の森光敬子医療課長は、これらを実施するため、「基本方針には反していない」と説明した。
 後発医薬品使用体制加算等については、後発品の調剤割合が高い医療機関等に重点を置いた評価とするため、後発医薬品使用体制加算等の要件と評価を見直す。一般名処方加算については、推進する方向で見直す。在宅自己注射指導管理料等については、バイオ医薬品をバイオ後続品に切り替える場合の患者への説明などを評価する。

 

全日病ニュース2020年2月1日号 HTML版

 

 

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    減ることが機能分化が進まない理由の一つとされてきた。 細分化する ...

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2014年2月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2014/140201.pdf

    2013年12月27日 ... の機能分化・連携に関して14年度は回復期病床への転換など現状でも必要な. もの
    のみを ... 事務局は2月12日の答申を目指しており、2025年に向けた. ロードマップ ... ね
    られた。 △2014年診療報酬改定の公聴会では10人が意見を述べた.

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