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ホーム全日病ニュース(2020年)第955回/2020年2月1日号第7次医療計画の中間見直しの意見まとめる

第7次医療計画の中間見直しの意見まとめる

第7次医療計画の中間見直しの意見まとめる

【厚労省・医療計画見直し検討会】5疾病5事業および在宅医療の指標変更

 厚生労働省の医療計画の見直し等に関する検討会(遠藤久夫座長)は1月15日、第7次医療計画の中間見直しに関する意見書を大筋で了承した。2018年度からの第7次医療計画が6年の計画期間の中間を迎えるため、5疾病・5事業および在宅医療の確保に関する指標などの見直しを行う。厚労省は意見書を踏まえ年度内に通知を出す。それにあわせ、都道府県は医療計画を見直す。
 医療計画は6年計画で、第7次は2018年度に始まった。2023年度までの期間の中間地点で、医療の確保に関する指標を見直す。2021年度から反映させる。同検討会は、各ワーキンググループなどの関係会議の意見を集約し、医療計画の見直しを議論してきた。
 前回の検討会で、「がん」、「脳卒中および心筋梗塞等の心血管疾患」、「糖尿病」、「精神疾患」、「救急医療」、「へき地医療」、「周産期医療」については、合意を得ていた。同日の検討会では、「小児医療」、「在宅医療」、「災害医療」の見直しを了承し、全体をまとめた。
 小児救急を含めた小児医療では、◇災害時小児周産期リエゾン任命者数を重点指標▽小児の訪問診療を実施している診療所・病院数◇小児の訪問診療を受けた患者数◇小児の訪問看護利用者数─の指標を追加する。
 委員から医療的ケア児の支援の実態把握を求める意見が出ていたことから、同日、厚労省社会・援護局から福祉的対応の説明を受け議論した。指標に、「小児の訪問診療を実施している診療所・病院数」に追加することで、生育過程を踏まえた療養・療育支援が可能な体制の推進を図るとした。また、8次計画に向け具体的な指標の検討も続ける。
 全日病副会長の織田正道委員は、「医療的ケア児への支援を医療計画の中でどう反映させるかが課題。福祉的な対応と医療で横串を刺せるような指標を考える必要がある。特に、レスパイトケアを担う施設の確保は重要になる」と述べた。
 在宅医療では、新たに歯科に関連する項目を複数設ける。具体的には、◇訪問口腔衛生指導を実施している診療所・病院数◇栄養サポートチームと連携する歯科医療機関数▽歯科衛生士を帯同した訪問歯科診療を受けた患者数◇訪問口腔衛生指導を受けた患者数─を追加する。
 また、「在宅医療」では、高齢化や療養病床の地域差の是正による増加する在宅医療の需要に対応できる体制を整備するため、需要の規模を把握し、市町村を支援することが都道府県に求められている。在宅医療の状況を「みえる化」するため、KDB(国保データベースシステム)の活用も促す。

相次ぐ災害踏まえ新指標
 災害医療の指標では、◇医療従事者に対する災害医療教育の実施回数◇地域住民に対する災害医療教育の実施回数◇災害医療コーディネーター認定者数◇災害時小児周産期リエゾン認定者数─を追加する。
 都道府県の災害対策本部や関係機関との災害訓練の実施回数の指標については、「保健所、市町村等」を追記する。災害拠点病院における業務継続計画(BCP)の策定率は、BCPの策定が義務化され、すべての災害拠点病院がBCPを策定したため、指標から削除する。
 織田委員は、「災害時に備えて、日常的に在宅医療を受けている患者数や居宅の場所を把握する必要があるのではないか」と述べ、行政の対応を求めた。日本医療法人協会会長の加納繁照委員は「災害拠点病院以外の医療機関も、災害時に重要な機能を果たす」と指摘。明確な位置づけを要望した。厚労省は、8次計画に向け検討すると回答した。

 

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