全日病ニュース
公立・公的病院へのダウンサイジング求める通知を発出
公立・公的病院へのダウンサイジング求める通知を発出
【厚労省通知】要請対象は約440病院に増加
厚生労働省は1月17日、公立・公的病院の具体的対応方針の再検証等を求める通知を都道府県に出した。あわせて、公立・公的病院の診療実績データの分析結果と民間病院の診療実績データを提供した。高度急性期・急性期の診療実績の乏しい公立・公的病院の地域における役割を再確認し、民間への代替を含め、再編統合につなげる議論を促す。民間医療機関のデータの取扱いは都道府県の判断にゆだねた。
政府の骨太方針2018では、公立・公的病院は、「地域の医療機関では担うことができない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療提供等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するための再編統合の議論を進める」と明記。地域の医療機関が担うことができる医療機能であれば、民間に代替すべきとの考えで、今秋までにその結論を出すことを求めた。
これを踏まえ厚労省は昨秋、公立・公的病院の高度急性期・急性期に着目した診療実績データの分析を行った。①診療実績が特に少ない②構想区域内に一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上ありかつお互いの所在地が近接している─を分析した。
その結果、424の公立・公的病院が①②のいずれかに該当した。これらの病院は民間との代替可能性があるため、再編統合の再検証を求める対象となる。なお、再編統合は複数の病院の統合だけでなく、病床削減などダウンサイジングを含んでいる。厚労省は、診療実績データは機械的な計算で、再編統合を強制するものではないと説明した。しかし病院名が公表されたことから、自治体関係者などからの反発があり、今回の通知の発出は当初の予定から数カ月遅れることになった。
厚労省は今回、公立・公的病院リストを精査し、昨年9月に公表した424病院に増減が生じたことを明らかにした。7病院が対象から外れ、約20病院が追加され、約440病院となった。データを精査した結果、対象から外れた7病院は以下のとおり。◇社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会中央病院(東京)◇ JA 静岡厚生連遠州病院(静岡)◇岩国市医療センター医師会病院(山口)◇徳島県鳴門病院(徳島)◇宗像医師会病院(福岡)◇熊本市立熊本市民病院(熊本)◇杵築市立山香病院(大分)─。増減が生じた理由として厚労省は、職員のミスを含め、①公立・公的病院の一部データの入力もれ②紙レセプト(公費等)の手術実績の追加③病床機能報告の病棟名・病棟ID等の確認を踏まえた追加─をあげた。
全日病ニュース2020年2月1日号 HTML版