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ホーム全日病ニュース(2020年)第957回/2020年2月15日号2020年度診療報酬改定を加藤厚労相に答申

2020年度診療報酬改定を加藤厚労相に答申

2020年度診療報酬改定を加藤厚労相に答申

【中医協総会】医師の働き方改革への対応が目玉

 中医協総会(田辺国昭会長)は2月7日、2020年度診療報酬改定を加藤勝信厚生労働大臣に答申した。あわせて、20項目の附帯意見をつけた。入院基本料の体系を再編成した2018年度改定と比べ、全体として小幅な改定だが、重点課題を「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」とし、新たに「地域医療体制確保加算」を新設するなど手厚い評価を設けたほか、人員配置基準の緩和や事務手続きの簡略化も図った。
 答申後に会見した全日病会長の猪口雄二委員は、「これから検証する必要があるが全体としてうまく財源が割り振られたと思う。医師等の働き方改革への対応のほか、人員配置基準などが緩和された意義も大きい」と述べた。
 2020年度診療報酬改定の本体改定率は0.55%で2018年度改定と同じ水準。うち0.08%を「救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応」に用いる別枠を設けた。社会保障審議会医療保険部会・医療部会が決定した基本方針でも、「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」とし、今回改定の目玉となった。
 医師の働き方改革により、2024年度から一般労働者とは別の取扱いにされた医師にも時間外労働規制が適用される。これを踏まえ、医師から他業種へのタスクシフト等を促す項目など様々な方法で勤務医負担軽減を目指す改定が行われた。医療団体から要望の強い人員配置基準の要件緩和やICTの活用を念頭に置いた会議や事務手続きの効率化・合理化も図っている。
 入院料では、急性期一般入院料1の「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の基準値が「30%以上」から「31%以上」への引上げにとどまった。ただ、認知症やせん妄の患者にかかる手間に配慮した基準②が廃止されるなど、評価項目・判定基準は幅広く見直しされた。
 前回よりも小幅改定とはいえ、改定項目は多岐にわたる。主要事項については2面で概観する。
 中医協での議論は、4月から始まった。ただ、10月の消費税10%への引上げに対応するための改定の議論を2月13日の答申まで行っていた。2018年度改定で導入された「妊婦加算」が根本匠厚生労働大臣の決断で凍結されるという事態も生じた。
 4月以降の議論は、第1ラウンドと第2ラウンドに分けた。第1ラウンドでは、「妊婦加算」が凍結された背景も含め、国民・患者視点で診療報酬を取り巻く状況を年代別・テーマ別に議論した。その上で、秋以降は、例年通り、個別改定項目に関わる議論を行った。
 12月17日の加藤厚労相と麻生太郎財務大臣との大臣折衝で、改定率が決まった。年を越して、1月15日にそれまでの議論を整理し、加藤厚労相から諮問を受けた。パブリックコメントを募集し、1月24日は静岡県富士市で公聴会を開催した。
 附帯意見は20項目。「救急医療管理加算」について、今回の「見直しの影響を調査・検証し、患者の重症度等に応じた救急医療の適切な評価」を検討するとした。DPC/PDPSの見直しは今回ほとんど行われなかったが、急性期医療の標準化を進めるため、診療実態の把握を続けていくと明記した。

 

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  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年2月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180215.pdf

    2018年2月15日 ... 基本料では、評価体系を全面的に組み. 換える大幅な改定となった。答申後の. 会見で
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