全日病ニュース

都道府県別の募集定員上限を了承

【医道審・臨床研修部会】2021年度臨床研修の採用分

　医道審議会の医師分科会医師臨床研修部会は１月31日、2021年度の臨床研修の都道府県別募集定員上限を了承した。近く都道府県に内示し、調整を図るため、人数は公表しなかった。また、部会長に国立国際医療研究センターの國土典宏理事長を選出した。
　臨床研修必修化後、研修医の募集定員は研修希望者の1.3倍を超える規模に拡大。研修医が都市部に集中する傾向が続いた。研修希望者に対し募集定員が多いと、人気のある臨床研修病院に研修医が集まり、採用数が多くなるので、結果として、大都市に研修医が集まることになる。
　このため、医師偏在対策として、この比率を縮小させる目標を設定してきた。2020年度までに約1.1倍を目指し、大都市６都府県（東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡）の研修医の割合は経年的に減った。改正医療法等による新たな医師偏在対策が来年度から始まり、臨床研修制度においては、2025年度までに約1.05倍まで縮小させることが新たな目標となっている。
　その目標を達成するため、実際の募集定員上限の計算方法を見直した。例えば、算定方式の中で、「医学部入学定員」を採用する場合、人口に基づく値の1.2倍を限度とした。この結果、相対的に人口に対する医学部入学定員の割合が高い東京や石川、岡山の減少が大きくなった。ただ、激変緩和措置として、前年度の採用数は下回らないようにしている。
　また、見直しでは、「都道府県の定員上限を超えていても、施設ごとの募集定員を原則２人にする調整を行うことが可能との配慮を廃止する」としていた。しかし、全日病副会長の神野正博委員が「研修医の教育上原則２人とし、上乗せできる調整は残してほしい」と述べ、存続することになった。
　従来の計算方法で算出した2021年度の募集定員上限は研修希望者１万468人に対し、１万2,009人。新たな計算方法だと、１万1,889人に減少する。都道府県別の募集上限は今後、都道府県との調整で、数字が変化する可能性がある。
　医師の働き方改革への対応では、いわゆるＣ - １水準が適用される臨床研修において、臨床研修病院が毎年報告する事項に時間外労働の実績を盛り込むことや、時短の取組みを行いながら、高い研修効果を得る推奨事項を検討する研究班の設置などを了承した。