全日病ニュース

受診時定額負担の対象設定を視野に外来機能の分化・連携を議論

【厚労省・医療計画の見直し検討会】４月に中間とりまとめの予定

　厚生労働省の医療計画の見直し等に関する検討会（遠藤久夫座長）は２月28日、外来機能の分化・連携について議論を始めた。全世代型社会保障検討会議の中間報告を受けた厚労省の対応の一環。４月に中間とりまとめを行う予定である。
　全世代型社会保障検討会議は12月の中間報告で、「大病院と中小病院・診療所の外来における機能分化、かかりつけ医の普及を推進する」ために、受診時定額負担の対象病院を200床以上の一般病院に拡大する方向を示した。
　これを受けて、社会保障審議会の医療保険部会と医療部会が具体的な議論を始めた。医療部会の委員から、外来機能とかかりつけ医機能については別の会議体で集中的に議論する必要があるとの意見があり、医療計画の見直し等に関する検討会でその議論を行う。
　同検討会では、◇外来機能の明確化◇かかりつけ医機能の強化◇外来医療のかかり方に関する国民の理解の推進―の３点を検討し、４月に「中間とりまとめ」を行う。検討内容は医療部会に報告される。
　厚労省は外来医療を、いわゆる「一般外来」と「専門外来」の２種類に分類した。一般外来は、地域で生活に根差した身近な医療を提供する外来医療である。他方、高額な医療機器・設備を用いて、特定の領域の専門的な知見を持つ医師が医療を提供するのが専門外来との認識を示した。
　厚労省は、専門外来に一般外来の患者が来てしまうことなどにより、外来医療の機能分化と連携が十分に進んでいないために、医療の質を損ねている可能性があると指摘した。
　そこで、現在提供されている外来医療の機能に応じて、医療機関が地域で果たすべき役割を明確化し、機能分化と連携を進めていく方向を掲げた。
　その検討において考慮すべきポイントとして、◇必要な患者アクセスを阻害しない◇患者の状態に合う質の高い外来医療を提供する◇地域の医療資源を効率的に活用する―の３点を示した。
　日本医師会の城守国斗委員は、外来機能の明確化と連携の方向に賛成を表明した。「専門外来」に位置づけられた医療機関は、選定療養による定額負担の対象とされる可能性があるとの理解を示した。その上で、「専門外来を広く設定すると患者のアクセスが阻害されるため、かなり絞るべき」と主張した。専門外来とする医療機関の病床規模は、200床以上が妥当との認識を示した。診療所がなく病院がすべての外来機能を担う地域もあるため、地域性に配慮した議論を行うよう求めた。
　全日病の織田正道委員は、「患者定額負担を設定する対象病院を200床以上の一般病院の『すべて』にする方向はあまりに強引」と指摘。地域医療支援病院に限定すべきとした。厚労省は、次回以降にエビデンスに基づき一般外来と専門外来の区分案を示す見通し。
　一方、厚労省は地域のかかりつけ医機能の質・量両面での向上を図るための方策を検討する考えを示し、異論は出なかった。織田委員は、「専門医から総合的に診療できる医師へのキャリアチェンジに力を入れていく」と述べ、全日病が実施する研修への支援を求めた。厚労省は「バックアップしたい」と回答した。