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ホーム全日病ニュース(2020年)第960回/2020年4月1日号回復期と慢性期の診療実績データも分析

回復期と慢性期の診療実績データも分析

回復期と慢性期の診療実績データも分析

【地域医療構想WG】公民の競合状況を明らかにする

 厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループ(尾形裕也座長)は3月14日、地域医療構想調整会議の活性化のため、回復期と慢性期についても病床機能報告制度による診療実績データを分析し、地域における公民の競合状況などを明らかにする方針を示した。高度・急性期の診療実績データも追加的に分析を行う。
 回復期については、「回復期リハビリテーション機能」と地域包括ケア病棟など「その他の機能」の医療内容が異なるため、両者を区別する。厚労省は、「回復期は民間が主に担うことができると考えられるが、構想区域によっては公立・公的と民間医療機関が分担し担わざるを得ない場合がある。地域における公民の競合状況を含めた現状を明らかにする必要がある」と指摘した。
 診療実績データを分析する上では、診療報酬の入院料の算定に着目。回復期リハビリテーション入院料とそれ以外の入院料を区別する。厚労省の分析では、公民の競合状況は地域差が大きく、具体的事例を検討する際は、地域の実情に応じた判断が重要であることが強調された。
 慢性期についても、地域差が大きい。また、病床機能報告制度では慢性期と報告した病棟のうち、約5%が6年後に介護保険施設などに転換を予定。このため、介護保険施設などへの転換状況を把握しつつ、議論を進める。
 高度急性期・急性期のデータはすでに分析結果が示されている。しかし、440弱の公立・公的病院に再編統合等の再検証を要請した際に、地元自治体などからの意見を踏まえ、厚労省は、「手術の一部や内科的な診療実績」や「人口が特に減少する区域に着目した分析」を追加的に実施する考えを示した。ただし、分析結果は、440弱の対象病院を決める際の基準に用いて、改めて対象病院を指定するわけではなく、調整会議への参考資料とする考えだ。
 全日病副会長の織田正道委員は、「診療実績データの乏しい公立・公的病院の公表は、地域の議論を活性化させるのに役立つ。関係者に働きかけ、取組みを進めていくべきだ」と述べた。
 地域医療構想の重点支援区域は1月31日に第1回目の選定が行われた。随時募集し、第2回目につなげる方針だ。基本的には、都道府県が調整会議で合意を得た上で、厚労省に申請。国は、データ分析など技術的分析と新たな病床ダウンサイジング支援など財政的支援を実施する。重点区域に選定された後の再編統合等の結論についても、「あくまで調整会議の自主的な議論によるもの」と、厚労省は強調した。

 

全日病ニュース2020年4月1日号 HTML版

 

 

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