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ホーム全日病ニュース(2020年)第960回/2020年4月1日号基本領域と連動研修ができるサブスペシャルティ領域認める

基本領域と連動研修ができるサブスペシャルティ領域認める

基本領域と連動研修ができるサブスペシャルティ領域認める

【医道審・専門研修部会】内科、外科、放射線科で15領域

 医道審議会の医師専門研修部会(遠藤久夫部会長)は3月13日、日本専門医機構が認定するサブスペシャルティ23領域のうち、複数診療科を集約したものを含め、15領域を基本診療領域との連動ができる診療科として了承した。基本診療領域の研修期間は、地域医療への影響に配慮するため、適切な研修体制が構築されるよう、国や都道府県が意見を言えることになっている。同部会の了承により、機構認定のサブスペシャルティ領域が正式に認定された形だ。
 機構認定の専門医制度は、基本診療領域とサブスペシャル領域の2階建てだが、サブスペシャルティ領域については、同専門部会の了承を得ていなかった。実質的には、基本診療領域の研修期間で、すでに連動研修が行われており、このまま最終的に、機構認定のサブスペシャルティ領域として認められない可能性があった。
 新たな専門医制度ができた背景には、従来の専門医は様々な専門医が標榜されながら、質の担保がなされず、国民にわかりにくいということがあった。しかし、同部会は、機構認定のサブスペシャルティはその点を満たしているかが不十分で、さらなる検討が必要と指摘していた。さらに、機構による専門医制度は地域医療への配慮が不十分でありその点から、国や都道府県がチェックする必要があるとされた。
 このため、「サブスペシャルティ領域のあり方に関するワーキンググループ」(WG)を設置し、非公開で議論を行った。同日の専門部会ではWGの報告書を基に意見が交わされ、基本的にその内容を了承した。
 報告書は、サブスペシャルティ領域について、①連動研修を行い得る領域②連動研修を行わない領域③少なくとも一つのサブスペシャルティ領域を修得した後に研修を行う領域─の3類型に整理している。
 内科は機構認定のサブスペシャルティ領域が15領域ある。このうち、「連動研修が行える領域」は8領域となった。具体的には、◇消火器内科◇循環器内科◇呼吸器内科◇血液内科◇内分泌代謝・糖尿病内科◇脳神経内科◇腎臓内科◇膠原病・リウマチ内科─である。ただし、消化器内科には、機構認定の「消化器病」、「肝臓」、「消化器内視鏡」を含めている。内分泌代謝・糖尿病内科には、機構認定の「内分泌代謝」、「糖尿病」を含めている。
 一方、研修の一部重複を認めるが、「少なくとも一つのサブスペシャルティ領域を修得した後に研修を行う領域」は、◇肝臓内科◇消火器内視鏡◇内分泌代謝内科◇糖尿病内科─となった。一部重複を認めない「連動研修を行わない領域」は◇アレルギー◇感染症◇老年科◇腫瘍内科─となった。
 なお、領域の名称は一部変更が行われているが、広告可能な診療科の議論とあわせ改めて検討されるものと位置づけている。
 外科領域のサブスペシャル領域は、5領域が連動研修ができることになった。具体的には、◇消化器外科◇呼吸器外科◇心臓血管外科◇小児外科◇乳腺外科─である。内分泌外科は連動研修を行わない。放射線科領域は放射線診断、放射線治療とも同様に、連動研修ができることになった。
 また、サブスペシャルティ領域の専門研修は、年次や履修内容が厳格に定められているプログラム制ではなく、一時的に中断しても期間を置いて再開できるカリキュラム制を基本とする。ただし、連動研修の期間中はプログラム制になるとした。

厚労大臣の機構への意見まとめる
 厚生労働大臣が機構に要請する意見をまとめた。基本的には、専門医制度が地域医療に悪影響を与えない配慮を求める観点で、意見をまとめている。
 具体的には、◇総合的な診療を行う医師の数を一定数担保する制度とすること◇専攻医が都市部に集中しない仕組みを整備すること◇連動研修で地域医療への影響に配慮し、すべての都道府県で研修が行えることを確認すること◇総合診療専門医についても機構が認定するサブスペシャルティ領域を早急に検討すること◇カリキュラム性を選択した地域枠医師等については、指導医のいない施設での症例も一部認めること─などを盛り込んだ。

2020年度専攻医募集の結果を報告
 新専門医制度の2020年度に研修が行われる専攻医募集の結果が報告された。採用数は9,072人で、対前年度比で5.3%増。東京都が最も多く1,783人、次いで、大阪府の683人、神奈川県の546人、愛知県の519人となっている。最も少ないのは香川県の37人、次いで、高知県の44人、島根県、宮崎県の各45人となっている。
 診療科別では、内科が2,922人で最も多く、次いで、外科が828人、整形外科が665人、小児科が565人、精神科が517人、産婦人科が476人、麻酔科が455人、眼科が344人、泌尿器科が323人、皮膚科が304人、救急科が278人などとなっている。希望者が増えないと問題視されている総合診療は222人となり、42人増えた。
 また、今回から都道府県別診療科別の新たな募集人数のシーリング(上限設定)が設けられた。ただ、最もシーリングがきつくなる東京都は0.7%の増加。厚労省は、シーリングが設けられていない診療科の増分があり、全体として専攻医が増えたと説明した。
 最も専攻医が減ったのは香川県の▲37.3%、次いで徳島県の▲26.2%、長崎県の▲21.6%、山形県の▲13.6%。最も専攻医が増えたのは和歌山県の34.3%、次いで沖縄県の31.8%、埼玉県の31.6%、愛媛県の30.8%となっている。
 厚労省は、新たなシーリングを設けたことによる医師偏在対策としての効果を分析。偏在を表す回帰曲線の傾きが緩やかになり、改善の方向に変化したとした。

 

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