全日病ニュース

新型コロナ感染防止でオンライン診療を拡大

【厚労省・オンライン診療検討会】慢性疾患患者の処方変更を容認

　厚生労働省のオンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会（山本隆一座長）は３月11日、新型コロナウイルス感染症予防のため、臨時に慢性疾患患者のオンライン診療での処方変更を認める方針を決定した。厚労省は、同日出された意見を踏まえ、19日に通知を発出した。
　厚労省は２月28日に発出した事務連絡で、電話やオンライン診療で慢性疾患患者を診療した場合、これまで処方してきた慢性疾患治療薬を処方してよいことを明確化した。処方箋情報を医療機関から直接、薬局にファクス等で送信し、薬局はそれに基づき調剤できることも示した。新型コロナウイルスの感染拡大を防止することが狙い。
　厚労省は、この対応を臨時的に拡大することを検討会に提案し、大筋で了承された。慢性疾患をもつ定期受診患者の血圧が上昇するなど病状が変化した場合に、オンライン診療で、それまで処方したことのなかった医薬品を処方できるようにする。新型コロナウイルスの感染拡大時に限定した対応だ。
　オンライン診療の指針では、処方の変更は、あらかじめ診療計画に記載しているときにのみ認められる。今回の臨時の対応でも、簡易の診療計画書の作成を求める声があった。
　電話再診においても同様に処方の変更を認めるべきとの意見が出た。
　新型コロナウイルスへの感染を恐れる患者が、かかりつけ医や病院の受診を控える事態が生じていることも報告された。厚労省は、かかりつけ医や一般医療機関による電話相談とオンライン受診勧奨を今後、有効に活用していく方向を示し、異論はなかった。
　同日の会議では、新型コロナウイルスの感染が拡大した場合の対応も協議した。現在、感染者は軽症でも入院するが、今後、さらに感染者が増大すると、重症者への医療を確保するため軽症者を自宅で療養させる事態になることも想定される。その際、自宅で療養中の感染者の経過観察を電話やオンライン診療で実施する方針を確認した。
　この会議で出された意見を受け、厚労省は３月19日、事務連絡を発出した。患者が複数回受診したことのあるかかりつけ医等は、臨時的に電話や情報通信機器による診療で処方変更ができるとした。これまでオンライン診療をしていなかった患者について、医師に診療計画の作成は求めないが、説明内容を診療録に記載することとした。