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ホーム全日病ニュース(2020年)第961回/2020年4月15日号オーバーシュート時の対応を加藤厚労相に要望

オーバーシュート時の対応を加藤厚労相に要望

オーバーシュート時の対応を加藤厚労相に要望

【四病協】新型コロナウイルス感染者は専門病院に

 四病院団体協議会は3月25日の総合部会で、新型コロナウイルス感染対策に関する意見をまとめた。3月26日、加藤勝信厚生労働大臣に要望書として提出した。オーバーシュート(爆発的な患者急増)発生した場合に、地域医療の崩壊を起こさせないため、通常の医療提供体制ではない、特別な医療提供体制の構築が必要と主張した。
 要望は2点。3月19日付けの厚労省の事務連絡を踏まえたものとなっている。
 最初に、「オーバーシュートに備え、都道府県ごとに新型コロナウイルスの入院専門病院を設け、同病院で新型コロナウイルス感染の重症者を集約して受け入れる体制を整備するとともに、呼吸器・感染症等の専門医や教育された看護師等の人的資源、人工呼吸器等の物的資源を集中させること」を求めた。
 日本精神科病院協会の山崎學会長は会見で、「専門病院は政策医療を担う公立等の病院が担うべきで、一般の入院患者は民間病院など他の病院が全面的に受け入れる」と述べた。
 また、「入院専門病院に指定された病院の一般入院患者の転院は、他の病院が全面的に受け入れる体制を確保する」と指摘。地域の民間病院を想定し、一般患者を受け入れるとした。
 次に、「トリアージ後、自宅待機と判断された陽性患者においては、感染防止を国民に広く周知徹底するとともに、感染防止対策が十分にできない場合は、適切な施設を確保する」ことを要望した。政府は無症状・軽症の感染者は自宅待機が原則と事務連絡しているが、自宅で十分な感染防止対策を行うことは難しく、感染防止拡大の観点から、「適切な施設」に移ってもらうことが、重要であるとした。「適切な施設」は公民の遊休施設を想定する。
 その際は、DMAT・DPAT・JMAT・AMAT が医療的支援を行うとした。

急性期病院で1~3割の減収の影響
 日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行は、新型コロナウイルスにより、特に急性期病院において、外来患者が急減し、病院収入に深刻な影響を与え始めていると説明した。愛知県の複数の急性期病院から1~3割の減少が生じているとの報告が上がっているという。福祉医療機構が特別の低金利融資を実施しているが、「全体の枠に不安がある」と、伊藤会長代行は述べ、さらなる財政的支援が必要と主張した。

医療保険部会の委員への参画を要望
 四病協は3月27日、加藤厚労相に「社会保障審議会医療保険部会への委員としての参画」を要望した。全世代型社会保障検討会議の中間報告を受け、医療保険部会では、一般病院における受診時定額負担の拡大の仕組みが議論されている。一般病院へのフリーアクセスを制限し、受診抑制を招きかねない問題であるにもかかわらず、当事者である病院団体の委員は一人も就いていない。このため、四病協の代表が医療保険部会に委員として参画できることを要望した。

 

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