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ホーム全日病ニュース(2020年)第963回/2020年5月15日号自民党に新型コロナウイルス対策医療系議員団本部が発足

自民党に新型コロナウイルス対策医療系議員団本部が発足

自民党に新型コロナウイルス対策医療系議員団本部が発足

医療崩壊阻止へ医療機関の財政支援求める

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ早期終息を図るため、自民党内の医師などの国家資格を有する国会議員でつくる「新型コロナウイルス対策医療系議員団本部」(本部長=冨岡勉衆議院議員)が4月16日に発足した。安藤高夫衆議院議員(全日病副会長)は、事務局次長として同本部に積極的に関わっている。
 同本部は、 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、臨床検査技師の国家資格を持つ議員で構成される。専門的知識と医療現場の経験をもとに政府や党の感染症対策を支援する目的で発足。3月から勉強会を重ね、政調会に政策提言を行ってきた。

コロナ対策の出口戦略を検討
 同本部幹事長の今枝宗一郎衆議院議員に新型コロナウイルス対策と議員団本部の取組みについて聞いた。
 今枝幹事長は、これまでの初期段階の対策について、「課題はあるものの徹底したクラスター対策によって感染者数の増加を抑え、死亡率も低い状態に維持している」と評価した。しかし、ウイルスの感染力が強く、クラスター対策をすり抜けて感染が広がっている。このため、政府は緊急事態宣言を発出して、国民に外出の自粛を求めるとともに、4月20日に緊急経済対策をまとめ、一律10万円の給付を盛り込むなど、国民生活を守る対策を打ち出した。
 今枝幹事長は、「医療崩壊は絶対に防がなくてはならない。そのために医療従事者に対する圧倒的支援が必要だ」と強調。その上で「新型コロナウイルスについてはいろいろなことがわかってきた。次の展開として出口戦略を考える必要がある」と述べ、抗体検査により感染状況を把握するとともに、治療薬やワクチンの開発やハイリスク者を守るための取組みを進める必要があるとした。
 抗体検査では130のキットが存在するが、検査の信頼性を検証した上で導入を進める必要がある。科学的知見を踏まえた検討が求められることから、専門家としてしっかり考え、提言していくと強調した。
 次の提言として準備しているのは、新型コロナウイルス対策に対するさらなる財源の確保だ。医療従事者に対する危険手当や減収している医療機関への支援のための財源が必要であり、第2次補正予算の編成を求めていく考えである。
 今枝幹事長は、「議員団本部としては政策提言だけでなく、行動をおこしていくことを重視したい」と述べる。医療系議員のネットワークを活かして、研究開発を支援したり、国民に対するリスクコミュニケーションに取り組み、不安の解消に取り組む考えを示した。

安藤議員が医療機関に対する補助の拡充を求める
 議員団本部は4月30日に会合を開き、古川俊治参議院議員(副本部長)が海外論文をもとにレムデシビルなどの治療薬の状況について情報提供したほか、抗原検査などPCR 以外の検査法に関する最新情報を共有した。
 安藤議員は、医療機関の経営状況について発言。コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院の経営状況を分析し、「医療崩壊を防ぐために補助の拡充が必要」と訴えた。
 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院では、多床室を1人1室で使用するなどにより、病院の収入が大幅に減少している。4月に決まった診療報酬の臨時的な取扱いを加味しても、急性期病院では75%の減収になるとの試算を示した。外来や手術、在宅診療や人間ドックなど様々な医療機能が縮小して収益が悪化し、存続の危機に直面している。
 安藤議員は、医療崩壊を防ぐためには補助を拡充する必要があるとして、①過去3年の収入実績をもとに減額相当分を補助、もしくは②コロナ患者1人当たり200万~ 400万円(症状による)の補助が必要だと訴えた。

 

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