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ホーム全日病ニュース(2020年)第964回/2020年6月1日号新型コロナの抗原検査キットを保険適用

新型コロナの抗原検査キットを保険適用

新型コロナの抗原検査キットを保険適用

【中医協総会】PCR検査と併用し陽性の確定診断に

 中医協(小塩隆士会長)は5月13日に総会をオンラインで開催し、新型コロナウイルス感染症の抗原検査キット(SARS-CoV-2抗原検出)の保険適用を了承した。同日、体外診断薬として承認されたことを受けたもの。PCR検査よりも精度は低いものの、迅速な診断が可能となる。PCR検査と併用し、抗原検査で陰性であれば、PCR検査を行って、非感染を確認する運用を図る方針となっている。
 同キットは富士レビオ株式会社が申請し、販売名は「エスプライン SARSCoV-2」。鼻咽頭のぬぐい液の中のSARS-CoV-2抗原を検出する。同キットで、陽性であるなら、ほぼ確定診断とすることができる。
 ただ、一定のウイルス量が必要のため、無症状者には適さず、医師が新型コロナウイルス感染の症状があると判断し、必要性を認めた上で、使用すべきとされている。陰性で除外判定できないため、確定診断のために、医師の判断によりPCR 検査を行う。
 医療保険の取扱いでは、臨床検査の「マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)」の4回分として600点とした。診断確定までの1回に限った算定とするが、検査結果が陰性であり、PCR検査でも新型コロナウイルス感染の診断がつかなかった場合は、さらに1回算定できる。
 また、PCR検査と同様に、検査費用の自己負担分は公費で給付する。
 厚生労働省は、「SARS-CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」を同日示し、同キットの活用の目的が、緊急性の高い新型コロナウイルス感染症陽性者を早急に検知することであることを示した。クラスターが発生している医療機関や施設では、感染の疑いが高い者には、PCR検査と抗原検査を併用し、それ以外の者は抗原検査の実施を検討する。
 供給量が限られており、「帰国者・接触者外来」や地域・外来検査センター、特定機能病院に先行して、同キットを供給する。全日病会長の猪口雄二委員は、「『帰国者・接触者外来』を持たない医療機関や介護施設などへの供給も早めてほしい。精度が悪くても、陽性と分かれば対応ができる」と要請した。
 これに対し厚労省は、十分な供給量になるには時間がかかるとしつつ、増産に向け働きかける意向を示した。
 慶應義塾大学教授の中村洋委員は、医療保険で2回に限り診断できることの不明瞭さを指摘。厚労省は、最初に抗原検査を行い、陰性の場合にPCR検査を実施。それで陰性であるにもかかわらず、発熱などの症状が続く場合を想定していると説明した。同日ガイドラインを示し、周知するとした。

 

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