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ホーム全日病ニュース(2020年)第964回/2020年6月1日号救急時や災害時にレセプトに基づく医療情報の共有を

救急時や災害時にレセプトに基づく医療情報の共有を

救急時や災害時にレセプトに基づく医療情報の共有を

【厚労省・医療情報検討会】政府は夏に工程表を策定

 厚生労働省は5月14日、「健康・医療・介護情報利活用検討会」(森田朗座長)と、その下部組織である「医療等情報利活用ワーキンググループ」「健診等情報利活用ワーキンググループ」を合同で、WEB会議方式で開催した。厚労省は救急医療や災害時に、レセプトに基づく患者の保健医療情報を全国の医療機関で確認できる仕組みを推進することを提案し、意見交換を行った。
 昨年の骨太方針で示された方針に基づき、政府は今年夏に保健医療情報の共有の推進に向けた工程表を策定する予定だ。同検討会は、工程表策定に向けて議論している。
 2021年3月にオンライン資格確認の運用がスタートした後には、患者の同意があれば、特定健診情報を医療機関の医療従事者らが閲覧できるようになる。2021年10月からは、薬剤情報も閲覧可能になる。
 厚労省はこれをさらに拡大し、救急医療において、患者に意識障害があり本人から情報が得られず、家族からも情報が得られないようなケースで、レセプトに基づく抗血栓薬などの薬剤情報や過去の手術歴などの情報を医療機関が把握できるような仕組みを早期に構築することを提案し、意見を求めた。
 地震などの災害時や、新型コロナウイルス感染症のような感染症拡大時にも、過去の薬剤処方歴や傷病名などから、重症化リスクのある患者や、治療を継続する必要のある患者を把握することを提案した。
 複数の医療機関を受診する患者については、集約された薬剤の処方履歴を把握することで、重複や併用禁忌の確認などを行えることが有用であることも示された。
 構成員からは、「地震などの災害時や感染症拡大時に医療情報を利活用することには国民のコンセンサスは得やすい」と、厚労省の示す方向に賛意を示す意見があった。
 他方で「利便性と、安心・安全な制度にすることのバランスをとることが重要」、「コロナのような非常時には利便性やスピードが重視され、安全性の優先度が低くなる。非常時と平常時の対応を峻別すべき」などと、情報共有の範囲を広げるあたって、安全性にも配慮を求める意見があった。
 医療情報の共有には、オンライン資格確認システムのインフラを利用するが、同システムの運用コストは保険者が負担することになっている。保険者のオブザーバーからは、「オンライン資格確認のインフラを当初の目的と別の目的で活用するのなら、運用コストについて再検討が必要だ」との声があがった。

 

全日病ニュース2020年6月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2014年2月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2014/140201.pdf

    2013年12月27日 ... 医療保険者によるレセプト・健診情. 報等を活用した保健事業の推進 35 ... 初会合では、
    国・自治体・企業が三位. 一体となって規制改革を活かしたビジ ... るとともに、受入れの
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