全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース(2020年)第964回/2020年6月1日号病院経営に対する支援求め緊急要望を提出へ

病院経営に対する支援求め緊急要望を提出へ

病院経営に対する支援求め緊急要望を提出へ

【日病協・代表者会議】入院基本料の緊急引上げやPCR検査体制の強化盛り込む

 日本病院団体協議会(議長=相澤孝夫・日本病院会会長)は、5月22日に代表者会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大で病院経営が深刻な影響を受けていることを踏まえ、緊急の支援を求める要望を政府・与党に提出することを決めた。要望事項は、入院基本料の緊急引き上げやPCR 検査体制の強化、無利子融資や補助金の拡充などを検討している。第2次補正予算案の編成に合わせて提出する考えだ。
 全日病と日本病院会、日本医療法人協会が実施した緊急調査では、4月の収支は全体で9.0%の赤字となり、病院経営が急速に悪化していることが明らかとなった。5月以降も、回復期リハビリ病院や療養病棟でさらに悪化すると予測されるため、引き続き調査を実施する方向である。
 こうした状況を踏まえ、代表者会議は医療崩壊を回避し、第2波、第3波の感染拡大に備えるため、病院経営に対する緊急の支援を求める必要があるという意見で一致。早急に要望事項をまとめ、提出することを決めた。
 要望には、診療報酬や運転資金の支援に加え、PCR 検査体制の整備を盛り込む。2次救急を担う病院では、院内感染を防ぐために感染者を把握する必要があり、PCR 検査体制の拡充は喫緊の課題となっている。
 新型コロナウイルスのPCR 検査は3月4日の通知により保険適用されたが、行政検査と位置づけられ、実施は都道府県と契約を結んだ医療機関に限られる。厚生労働省は検査体制を拡充するため5月10日の事務連絡で、適切な感染対策がとられている医療機関であれば、新型コロナウイルスに係る行政検査を行う医療機関と認められるとし、申し出があった場合は速やかに契約するよう求めている。しかし、都道府県によって行政の対応に違いがあり、検査体制の整備が遅れている。背景には、民間の検査機関を含め、PCR 検査のキャパシティの問題があるとみられる。こうした状況を打開するために日病協は、PCR 検査体制の拡充を緊急要望に盛り込んで政府に対応を求める考えだ。

全世代型社会保障に病院の意見示す
 代表者会議は、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて病院団体の考えを示すことを確認した。同検討会議は、昨年末に中間報告をまとめ、この夏に最終報告をまとめる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、結論を年末に先送りした。日病協は、中間報告のうち医療に関する記述に問題があるとし、中間報告に対する意見を近く取りまとめる予定だ。
 日病協は4月より、日本病院会の相澤会長が議長に就任。副議長には、日本リハビリテーション病院・施設協会の斉藤正身会長が就いた。新型コロナウイルスの影響で4月の代表者会議は開催せず、5月の代表者会議は感染リスクを避けてWeb 会議で開催した。

 

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