全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2020年)第965回/2020年6月15日号医療従事者、職員に最大20万円の慰労金を支給

医療従事者、職員に最大20万円の慰労金を支給

医療従事者、職員に最大20万円の慰労金を支給

【政府】第二次補正予算案を閣議決定。厚労省分は4兆9,733億円

 政府は5月27日、新型コロナウイルス感染拡大の抑え込みと社会経済活動の回復を目指し、一般会計で31兆9,114億円の第二次補正予算案を閣議決定した。医療や介護・福祉、雇用など厚生労働省分は4兆9,733億円。第一次補正で創設した新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金は第一次補正での対策を含め、全額国庫負担とした上で、2兆2,370億円を確保した。このうち3千億円弱で、約310万人の医療従事者を対象とした最大20万円の慰労金の支給を盛り込んでいる。
 同日の政府与党政策懇談会で、安倍晋三首相は、緊急事態宣言を解除したことを報告した上で、第二次補正予算案について、「感染を抑えながら、完全なる日常を取り戻すまで、事業と雇用を守り抜く。同時に、感染状況が落ち着いてきたこの機会をいかし、次なる流行のおそれに、万全の備えを固めていかなければならない」と強調。医療提供体制や検査体制の充実を重要な柱に位置付け、「2兆円を超える予算を積み増した」と説明した。
 厚労省分4兆9,733億円のうち、一般会計が3兆8,507億円、労働保険特別会計が1兆4,446億円(一般会計から労働保険特別会計への繰入れが3,220億円あり、重複分は除いている)。第一次補正は1兆6,371億円であり、それを大きく上回る金額となった。
 内訳は、検査体制の充実やワクチン・治療薬の開発が2,719億円、医療・福祉の提供体制の確保が2兆7,179億円、雇用調整助成金など生活支援が1兆9,835億円。医療、福祉の提供体制の確保のうち、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金は、第一次補正の1,490億円に2兆2,370億円を積み増す大幅な増加だ(下図を参照)。
 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金では、第一次補正での事業に追加し、◇重点医療機関の病床確保等(4,700億円)◇慰労金(2,900億円)◇救急・周産期・小児医療の院内感染防止対策(1,500億円)◇医療機関・薬局等の感染拡大防止等支援(2,600億円)を設けた。これらで1兆1,788億円。さらに介護・福祉分野も交付金の対象とし、感染症対策や慰労金、サービス利用の再開支援で6,091億円を計上した。

コロナ専用病棟の空き病床に補助
 新型コロナの重点医療機関の体制整備では、新型コロナ患者の受入れ体制確保のため、空床確保料を補助する。病院や病棟全体を新型コロナ患者専用とすれば、空き病床でも、集中治療室の場合、1病床あたり30万円超を補助する。第一次補正では9万7千円が空床補助の上限だった。30万円超というのは、5月25日に決まった診療報酬上の特例措置と照応する。特例措置では、専用病床の重症・中等症の新型コロナ患者への特定集中治療室管理料などの診療報酬を3倍に引き上げた。
 30万円超はその金額に相当し、新型コロナ患者を実際に受け入れたベッドは診療報酬で、受け入れていないベッドは補助金で支払われる形となる。
 また、重点医療機関の高度医療向け設備投資を支援する(約30億円)。具体的には、◇超音波画像診断装置◇血液浄化装置◇気管支ファイバー◇撮影装置◇生体情報モニター─など。

無利子・無担保の危機対応融資を拡充
 医療機関の医療従事者・職員への慰労金は、最大20万円を約310万人に支給する。都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務し、患者と接する医療従事者や職員のうち、実際に新型コロナウイルス感染症患者に診療等を行った医療機関等である場合は20万円、それ以外は10万円。その他病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所に勤務し患者と接する医療従事者や職員には5万円を支給する。
 新型コロナ疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児の医療機関に対しては、院内感染防止対策の支援を強化する。簡易陰圧装置やHEPA フィルター付き空気清浄機などへの補助や、診療体制確保のための支援金を支給する。
 その他の医療機関や薬局などに対しては、新型コロナ疑い患者と一般の患者が混在しない動線確保など感染防止対策を支援する。病院の場合、「200万円+5万円×病床数」を上限とした。取組み例では、電話等情報通信機器を用いた診療への支援も示されている。
 全日病など病院団体は、これまで緊急調査などで医療機関の経営悪化を伝えてきた。その働きかけもあり、今回、福祉医療機構の無利子・無担保等の危機対応融資が拡充(330億円)され、6月の診療報酬の支払いでは、4月分とあわせ、5月分の概算前払いを受けられることになった。
 5月分の概算額は12月~2月の診療報酬支払額(2月~4月支払い分)の平均の8割とする。7月下旬の5月診療分の支払いで精算される。
 検査体制の強化では、「地域外来・検査センター」の業務委託やPCR検査の研修などを支援する(366億円)。PCR検査の試薬や抗原検査キットの買上げでは、179億円を確保。、ウイルスの抗体保有状況を把握するための疫学調査では14億円を計上した。水際対策としての検疫では、PCR検査の結果が出るまでの待機施設を用意する(63億円)。感染者の動向や医療機関の稼働状況を把握するための情報システムでは42億円を計上した。
 また、ワクチン・治療薬の開発(600億円)や早期実用化(1,455億円)に向けての予算は2千億円超となっている。

 

全日病ニュース2020年6月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 特定接種に関する接種実施医療機関について

    https://www.ajha.or.jp/topics/jimukyoku/pdf/170213_1.pdf

    2017年2月10日 ... 新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成 25 年6月7日閣議決定。以下「政府 ...
    医療提供事業に係る公務員についても、特定接種の実施に際し、必要なワクチンの数.
    の把握及び ... 位での内訳を締結時に明確にする必要があります。

  • [2] 特定医療法人の承認要件の見直し等について(厚生労働省医政局医療 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180403_6.pdf

    2018年3月30日 ... 平成 30 年度税制改正の大綱(平成 29 年 12 月 22 日閣議決定)に基づき、特定医療.
    法人の承認要件については、 ... ③ 介護保険適用病床がある場合は、医療保険適用
    病床と介護保険適用病床のそれぞれについて内訳を記載. すること。

  • [3] 社会医療法人の認定要件及び特定医療法人の承認要件の見直し等 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180403_5.pdf

    2018年3月30日 ... 平成 30 年度税制改正の大綱(平成 29 年 12 月 22 日閣議決定)に基づき、社会医療.
    法人の認定要件及び特定医療 ... びその他の費用については、その内訳を示す費目を
    記載する様式によることもできる。 3.その他の事業費用には、研修 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。