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ホーム全日病ニュース(2020年)第965回/2020年6月15日号安藤副会長が衆院・厚労委員会で質問

安藤副会長が衆院・厚労委員会で質問

安藤副会長が衆院・厚労委員会で質問

地域共生社会の考え方や介護人材の確保、認知症施策の推進

 安藤高夫衆議院議員(自民党、全日病副会長)は5月20日、衆議院厚生労働委員会で、地域共生社会の考え方や介護人材の確保、認知症施策の推進について政府の考え方を質問した。
 安藤議員は、今国会に提出されている「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部改正法案」に関連して、「地域共生社会という言葉は国民にとって馴染みが薄い」 と指摘し、その考え方を聞いた。
 加藤勝信厚生労働大臣は、地域共生社会の理念について「全ての人々が地域、暮らし、生きがいをともにつくり、高め合い、支え・支えられて、ともに生きていく社会」と説明。今回の法案によって地域生活課題を解決するための包括的な支援体制を整備する新たな事業を創設すると述べた。
 また、今回創設される予定の「社会福祉連携推進法人」について、将来的には、さらに踏み込んだものとして、地域医療連携推進法人との連携(統合)などを検討し、例えば「福祉医療連携推進法人」のように医療・介護・福祉の一体的な提供につながる仕組み作りを要望した。
 安藤議員は、介護人材を確保するため、世代、職業、人種を問わず参加してもらう仕組みをつくる必要があると指摘。元気高齢者による介護助手を取り上げ、新型コロナウイルスの影響で失業した人やアルバイトを失った学生などに介護助手として参加してもらうことも一つの方法だとした。また、看護師国家試験に不合格となったEPA看護師候補者が介護人材として活躍できる方法は考えられないかと提案した。
 厚生労働省の谷内繁社会・援護局長は、多様な人材を活用することが重要であるとし、2018年度から地域医療介護総合確保基金を活用して、介護に関する入門的な研修を実施しているほか、2020年度から、健康な高齢者をターゲットとして補助的な業務に参画してもらうためのセミナーを実施することを紹介した。
 看護師国家試験に不合格となったEPA看護師候補者については、 介護人材確保の観点から調整を進めていると答えた。
 介護人材について安藤議員は、病院で働く介護職の処遇改善も課題となっていることから、介護施設と同様の処遇改善加算の仕組みについて引き続きの検討を求めた。
 安藤議員は認知症施策について質問。認知症の身体合併症に対応する急性期病院において不必要な身体抑制が行われることによって、認知症の人のADLやQOLが下がることは問題であるとして、質の高い標準的な介護とリハビリテーションの基準を作ることも一つの方法であると述べ、厚労省の考え方を聞いた。
 厚労省の大島一博老健局長は、医療・介護関係者のレベルの向上が重要であるとして、看護職員や医療従事者の認知症対応能力向上研修を実施しているほか、介護職員向けの実践研修では認知症ケアの方法をプログラムに盛り込んでいることを紹介。今回の社会福祉法の改正に認知症の人の地域社会における共生の推進や支援体制の整備を国・地方公共団体の努力義務としたことを説明した。

 

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